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闘将!! 白銀男 ~正義マンの憂鬱!の巻!~



   **



「ハワッ!」


 「裁きの神」と呼ばれる正義マンの手にした天秤が揺れる。


 この天秤は世界の「正義」と「悪」を測る天秤であった。


 その天秤は「悪」の一方へと傾いた。だが「正義」は0ではなく、存在しているのだ。


「人類の求める…… 永遠の形……」


 正義マンはつぶやく。市場経済における「神の見えざる手」を司る完璧商人始祖パーフェクトオリジンである正義マンは昨年、悪意の実体化した大魔王を塩試合で完膚なきまでに叩き潰した。


 だが大魔王は言った。必ず再びよみがえると。それは映画「魔界○生」のラストで天○四郎が放ったセリフと、ほとんど同じであった。


 この世に人間がある限り、魔性は不滅なのだ。それを討ち滅ぼす為に正義マンも存在し続けてきた。


 同時に人類の愛と勇気の概念も存在し続けた。有限生命体である人間の、後世に受け継いでいく愛と勇気、その意思もまた永遠の形だ。


「……大自然からの試練か」


 正義マンは尚もつぶやく。


 一昨年は星辰の乱れを「星の煌めき」の戦乙女プリピュアたちが制した。


 昨年は世界に広がった病魔を「善き癒し」の戦乙女プリピュアたちが押さえ込んだ。


 今年は大自然からの試練が人類を襲うだろう。これもまた混沌カオスのもたらした「大いなる災い」だ。


 しかも、すでに人類を滅ぼすために「調和の神」を筆頭にした超神たちが受肉して地に降りてきているのだ。


 世の経済を司る超人である「商人しょうじん」は、正義・悪魔・完璧の壁を越えて一致団結し、立ち向かっている。


 だが、これだけ闘いながら討ち滅ぼしたのは「憤怒の神」のみ……


 クリスマスの守護者ガーディアンである白銀マンと黄金マンは、今はパワーを使い果たしている。


 彼らの協力者である眼マン、精神マン、痛覚マン、奈落マン、鴉マンも同様だ。


 残る完璧商人始祖パーフェクトオリジンの歌唱マンも、クリスマスとニューイヤーでパワーを使い果たし、「サマー誘惑テンプテーション」たる幻影マンは夏まで眠りについている……


 「慈悲の神」であるザ・漢の指揮の元、筋肉男(正義商人筆頭にして白銀マンの子孫)やその兄のつわもの、ブロークンハートに闘将麺なども参戦しているが、劣勢は否めないように思われた。


 「知性の神」の名代のスーパー不死鳥、「剛力の神」の名代のビッグボインもタッグを組んで挑もうとし、また悪魔商人の阿修羅マンも戦場に馳せ参じた。


 だが、と正義マンは思う。


「これは人類が自分達の未来を守る闘いなのだ……」


 正義マンは目を閉じ瞑想した。


 商人達が超神を倒しても、人類に悪の心がある限り大魔王は再び現れる。


 一昨年は命を失った者達が多かった。それは世界を覆う病魔との来るべき闘いに向け、肉体を捨てた者達が多かったからだ。


 だからこそ、この國は守護まもられているのだ。


 自分は病魔の影響など受けていない!と豪語する者達も、死した後、命を捨てた人々が「あの世」で病魔という運命を食い止める闘いをしていた事実を知れば、唖然とする事だろう。


「正しく永遠の形…… そして世界はまた割れる」


 正義マンは気づいていた。


 世界は秩序コスモ混沌カオス、そして中立ニュートラルの三つに別れた事を。


 世界の平衡をも司る守護者ガーディアンの正義マンには、中立ニュートラルに属する者達の動向が未来を決するように思われて仕方ない。

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