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淑女ペネロープ ~赤と白の選択!の巻!~



   **



 初詣から帰ってきたゾフィーはネットをチェックした。


 自身の電子脳もフルに活用して十万回ほど検索しーー


 ローレンの画像がアップされていないかチェックしたが、そのようなものは全くなかった。


「はあ~、良かった~……」


 私事のように安心するゾフィー。ローレンの着物の裾の奥がネットにアップされていたら大変だった。


 当のローレンは「はあ? 悪行商人が来てたんだから、それどころじゃないでしょ」と気にした風もない。それこそが王者の風格ではあるのだが。


「ゾフィー、背中流してよー」


 ローレンがゾフィーを呼んでいる。主従は同じマンションの一室に住んでいた。


「はあーい、お嬢様ただいま~」


 ゾフィーも浴室へ向かった。


 なお、ローレンの裾の奥に「天国ヘブンズドアー」を見た者は、後に聖人となったり、大富豪となったり、はたまた暗黒街の顔役になったりした。


 ハロウィンの守護者ガーディアンたるローレンは、選ばれし者を導いたのだった。



   **



 子どもを人質にとって立て籠る銀行強盗。そこへ日傘を差したペネロープが通りがかった。


「おやっさん、そのペンキは白ね?」


 返事を聞くと、ペネロープは深紅のバッスルドレスを脱ぎペンキに浸した。ペネロープの深紅のランジェリー姿もセクシーだ。


 ペンキから引き上げたバッスルドレスを再びまとうペネロープ。するとそこには長身にして妖艶な修道女シスターが現れたではないか。


「おお、銀行強盗も修道女シスターならば警戒心を解く!」


「なんて冷静で適切な判断力なんだ!」


 感心するのは、これまた通りすがりの悪魔商人あくましょうじん、猛牛マンと残忍者、阿修羅マンである。


 三人が見ている前でペネロープは銀行強盗の欲求した食べ物の入ったカゴを手にして、銀行内に入った。


「……おいおい、修道女シスター。ずいぶん背が高いじゃねえか…… 美人だしおっぱいもでけえし」


 銀行強盗の言葉にカチンと来たペネロープは、キック一発で吹っ飛ばした。


「こ、これだから男は……!」


 ペネロープは白い額に幾筋もの血管を浮かべた怒りの形相であった。なんにせよ、こうして銀行強盗は成敗された。





「あ、ありがとうございます!」


「貴女のためにやったんじゃないわ、あいつが気にいらなかったからよ」


 感謝を述べる親子にぶっきらぼうに告げると、ペネロープは再び日傘を差して町中を行く。


淑女レディペネロープ…… なんて気高きひと……」


 夕闇の中を行くペネロープの後ろ姿を、猛牛マンと残忍者、そして阿修羅マンは恍惚の表情で見送った。きっとペネロープのTバックのランジェリー姿にやられたのだ。めでたし、めでたし。

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