淑女ペネロープ ~赤と白の選択!の巻!~
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初詣から帰ってきたゾフィーはネットをチェックした。
自身の電子脳もフルに活用して十万回ほど検索しーー
ローレンの画像がアップされていないかチェックしたが、そのようなものは全くなかった。
「はあ~、良かった~……」
私事のように安心するゾフィー。ローレンの着物の裾の奥がネットにアップされていたら大変だった。
当のローレンは「はあ? 悪行商人が来てたんだから、それどころじゃないでしょ」と気にした風もない。それこそが王者の風格ではあるのだが。
「ゾフィー、背中流してよー」
ローレンがゾフィーを呼んでいる。主従は同じマンションの一室に住んでいた。
「はあーい、お嬢様ただいま~」
ゾフィーも浴室へ向かった。
なお、ローレンの裾の奥に「天国の扉」を見た者は、後に聖人となったり、大富豪となったり、はたまた暗黒街の顔役になったりした。
ハロウィンの守護者たるローレンは、選ばれし者を導いたのだった。
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子どもを人質にとって立て籠る銀行強盗。そこへ日傘を差したペネロープが通りがかった。
「おやっさん、そのペンキは白ね?」
返事を聞くと、ペネロープは深紅のバッスルドレスを脱ぎペンキに浸した。ペネロープの深紅のランジェリー姿もセクシーだ。
ペンキから引き上げたバッスルドレスを再びまとうペネロープ。するとそこには長身にして妖艶な修道女が現れたではないか。
「おお、銀行強盗も修道女ならば警戒心を解く!」
「なんて冷静で適切な判断力なんだ!」
感心するのは、これまた通りすがりの悪魔商人、猛牛マンと残忍者、阿修羅マンである。
三人が見ている前でペネロープは銀行強盗の欲求した食べ物の入ったカゴを手にして、銀行内に入った。
「……おいおい、修道女。ずいぶん背が高いじゃねえか…… 美人だしおっぱいもでけえし」
銀行強盗の言葉にカチンと来たペネロープは、キック一発で吹っ飛ばした。
「こ、これだから男は……!」
ペネロープは白い額に幾筋もの血管を浮かべた怒りの形相であった。なんにせよ、こうして銀行強盗は成敗された。
「あ、ありがとうございます!」
「貴女のためにやったんじゃないわ、あいつが気にいらなかったからよ」
感謝を述べる親子にぶっきらぼうに告げると、ペネロープは再び日傘を差して町中を行く。
「淑女ペネロープ…… なんて気高き女……」
夕闇の中を行くペネロープの後ろ姿を、猛牛マンと残忍者、そして阿修羅マンは恍惚の表情で見送った。きっとペネロープのTバックのランジェリー姿にやられたのだ。めでたし、めでたし。




