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やがてそれを過去と呼ぶまで
闇は揺らめく
真実は月の影に
憎悪は星の裏に
一億年もまえから
だれかをあいしていた
ゴミ捨て場のポルノ
歩道脇の煙草
みなれたようなよごれも
いまだけは秋の中で
風
あざやかに
さわやかに
したたかに
たしかにそこに吹く!
夜と朝のまんなかみたいな
あいらしい空の下で
だれかがわたしの目覚めをまっている
夢はしずかなかたちに変形して
醒めたあとも手放さない
この街はきれい
わたしたちはきれい
秋は風がよい
それいがいよりずっとよい
朝焼けに
今日の雨をかすかに
一億年もまえから
なにかをあいしていた