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翠の提案

「桃、意外と大丈夫そうで安心したね」


「そうだな。意外と大丈夫そうだった」


 春野のお見舞いを終えて帰宅途中。翠は先ほどの春野を様子を見て胸をなでおろし、俺も同意した。


 あの様子ではきっと明日には登校出来そうだろう。


 お見舞いに栄養の付きそうなものもたくさん持って行ったし、あとは春野の回復を祈るばかりだ。


 まあ、本人は細菌もウィルスも倒せそうなことを言っていたから大丈夫だろう。


「桃、明日は元気になるといいな。寂しいもん。無理してほしくはないけどね」


「そうだな。明日はもし来たら、支援部復帰の話とかもしたいんだよな」


「え、支援部復活するの?」


「そうだぞ。細かい話はまたするけども」


「へーそっか。そうなんだ。……じゃあ、二人で帰れるのもあと少しか。だったら、今、頑張らないと」


 俺が支援部復活の話をすると、翠は嬉しい気持ち半分と少し残念な気持ち半分といった声で頷いた。


 何やらぼそりと呟いていたが、あまりの小声に聞こえなかった。


 気にはなったが、本日の経験上聞き返したらうるさいと言われかねん。


 まあ、あまりにも呟くことがあればさすがにこの若さで独り言は心配だから呟くのはツイッターだけにしときなさいとだけ伝えることにしよう。


「ねえ、お兄。支援部復活してもさ、帰り送ってくれる? さすがに不安感は残っているし」


「ん? 構わんぞ」


「絶対ね。頼りにしてるよ。その代わり、お礼にまたお弁当作ってあげるね」


「お、本当か? すごくうまかったんだよなあ。全部うまかったが卵焼きについてはほとんどお母さんと同じ味だった。すごいなあ、たまに入っていた卵焼きと全く同じ味でびっくりした!」


「……ふふ、そうでしょ? 今までとおんなじでしょ?」


「ああ。料理はうまいし胃袋を鷲掴みする腕があるよな」


 俺は翠を褒めながら、自分の腕をポンポン叩いて翠の料理の腕を称える。


 翠は得意げに胸を張り、ふふんと鼻を鳴らした。


 まあ、そのどや顔しちゃうのも気持ちはわかる。得意げになるのもわかる。だって美味しいのだから!


 ちくしょう、旦那になるやつが羨ましいぜ。絶対二回は反対したろう。劉備玄徳も孔明に三回会いに行って口説き落としたんだ。


 本気の奴はお兄ちゃんに反対されようが挑むくらいの甲斐性がなければな。


「そんな褒めてくれると思ってなかったからさ、めっちゃくちゃ嬉しいんですけど」


「あれを褒めない人なんていないだろ。もし作ってくれるなら楽しみにしてる」


「ふふ、了解。任せといて。翠ちゃんが腕によりをかけて作るからさ」


「おう楽しみにしてる」


 これからのお昼ご飯に楽しみが生まれ、俺の心は踊る。


 翠も褒められたのが嬉しかったのか上機嫌で鼻歌を歌っていた。


「お、そうそうお兄。ちょっと思い出したんだけどさ。あのね……」


「ん? なんだ」


 翠は手をポンと叩いてなにかを言いかけたと思いきやすぐに、黙った。


 そしてまたなにか閃いたように口を開いた。


「あ、そうだ。また今日の夜にお兄の部屋に行くからさ、その時話すよ」


「え、何それ気になる。って、また俺の部屋に来るの?」


「ダメ?」


「ダメじゃないけど」


「じゃあ、決定ね」


「あ、はい」


 半ば強引に翠が今日の夜も俺の部屋に来るのが決定してしまう。


 まあ、恐ろしい目にあったから甘えたい気持ちになっているのだろうか。


 急な翠の変貌になかなかの違和感を覚えたものの、不安を感じているのであれば無碍にも出来ないだろう。


 俺は翠の提案を受け入れると、翠の鼻歌はもっとご機嫌なものになった。



面白かったら、

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