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金髪の鬼と口の悪いブラコンはお友達

「ママ? ちょっとのどが渇いたからドリンクがほし……い?」


 扉を開けると、白い勉強机に、白いクローゼット、白のベッドと白を基調とした部屋が広がり、そのベッドの上には大きめのうさぎのぬいぐるみと寝ている春野がいた。


 春野は冷えピタを頭に貼って、だるそうな声でドリンクを要求する。


 どうやらお母さんと気付いてなかったようで、春野と目が合うと、春野は要求の途中で言葉を詰まらせた。


「はい、ママですよ〜。喉が渇いたのね〜、ジュース買ってきたわよ〜」


 翠はここぞとばかりに悪戯っ子の笑みを浮かべると、ママだと言って春野母の口調を真似しながら、俺が持ってた袋からスポーツドリンクを取り出した。


 途端に春野は一瞬で顔を赤くし、布団に顔を隠すようにして潜った。


 翠、春野の熱上げたりしてないだろうなあ。心配だぞ。


「な、なあんでいるんすかあ……」


「あら〜? ママだから桃ちゃんが心配だったのよ〜?」


「翠ちゃんはママ……お母さんじゃないっすううう」


 布団から春野のくぐもった声が抗議として聞こえてくる。ママと言っているのが恥ずかしくなったのかお母さんと呼び方を訂正した。


 というか翠よ。どSすぎやしないか? 春野が羨ま……、可哀想だからそろそろ止めてやらないと。


「翠は、ストップだ。病気を悪化させるような事してどうするんだ」


「はーい。桃、ごめんね」」


 俺が翠を止めると、翠は口調を戻して素直に謝った。


 翠が謝った事を聞いて、布団がもぞもぞと動いたかと思うと、春野は目までの部分だけひょっこりと布団から飛び出した。


「お見舞いっすか? その、面目ないっす。昨日久々に張り切ったからっすかね?」


「かもしれないなあ。心配したんだぞ。あ、先生から預かった課題と、翠からのお土産あるから机の上置いとくぞ」


「あ、すみませんっす」


 俺は春野に持ってきた課題とお土産を机に置くと、春野に近付いてベッドの前に腰を下ろした。


 そして、手を伸ばすと首元に手を当てた。


「あっちいな。こりゃしばらく寝た方が良さそ……」


「お、おおおお、お兄!? ななな、なにしてるの!? もももも、桃の肌触って! エッチ! 変態! シスコン! 破廉恥! 蒼司!」


 春野の熱の程度を調べるのに春野に触れていると、春野ではなく翠が同様の声を上げて俺を指さして罵倒した。


 なかなかの罵りだけど、間にシスコンとか蒼司とかって、それも罵りワードなの? ひどくない? と言いたくもなるようなワードが俺の心に刺さった。かなちい。


「翠ちゃん、皆野さんならいいっすよ」


「で、でも……」


「大丈夫っす」


 ほら見ろ翠ー! 春野は大丈夫だってよー。


 春野の許可がおりて、翠が腑に落ちてなさそうに何かを言おうとしたが、春野は翠が次の言葉を発する前に断ち切った。


「ま、まあ、桃が言うなら」


「うん。大丈夫っす。皆野さん、翠ちゃん、ありがとうございます。早く治して明日には行くっす」


「だ、ダメダメ、無理しちゃ。無理は禁止」


 春野が、早く治して明日には学校に来ようとしている事がわかると、翠が慌てて制した。


 まあ、治るかの確証がないのに明日には行くって言えば慌ててしまうのも無理はないだろう。


「無理はしてないっすよ?」


「だとしても! 治してから! そ、その、昨日は私の為に心配して頑張ってくれたんでしょ? だったら、今度は私が桃を心配するんだから!」


「……ふふ、心配っすか」


 春野は心配ないと言うが、翠は頑なに無理するのを禁じた。


 無理するのはもちろん良くないが、翠は昨日春野が頑張ってくれたから、だからこそ余計に心配なんだろう。


 その翠の心配を聞いて、春野は布団越しでも口角が上がっているのがわかった。目尻が下がっている。


 まあ、春野は恐れられてばかりで心配される事に慣れてはいないのだろう。それが嬉しいんだろうなあ。


 春野は昨日翠を助けたけど、翠は翠で春野を助けてるんだぜ。


「だから、治るまでは無理はダメー」


「えー、でも翠ちゃんに会いたいっす」


「う、私も会いたいけど、だったらお見舞い来るから」


 俺は、金髪の鬼と口の悪い妹の仲睦まじい様子を見ながら、春野にとっても翠にとっても良かったかなと一人父性のようななにかにひたっていた。


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