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雪解け

「昨日はご心配おかけしました。だけど、もう大丈夫ですよ」


 真白はペコリと頭を下げ、顔を上げてから再度微笑んだ。


 昨日のような落ち込んだ様子はなく、吹っ切れているようにも感じる。


 から元気、ではなさそうだ。


「そ、そう。ほんとに大丈夫なの?」


 対象的に翠は歯切れが悪い。


 心配しているその目は動揺しているのか泳いでいる。


 心配は心配だが、当事者である自分がどう声をかけたらいいのかわからないみたいだ。


 翠がちらりと視線を俺に向けるが、俺は返事をせず、その代わりに腰をポンと叩いた。


 翠は少し俯くと、意を決したように真白を見つめた。


 先程とは違い、目を泳がせる事なくまっすぐと見つめて。


「真白、昨日は……、ううん、私が危ない目にあってから今まで、私の事を気にかけてくれてありがとう。ごめんなさい」


「ううん、いいんですよ。私にも至らない点がありました。でも、結果的には無事に終える事が出来たのですから」


 頭を下げる翠の頭に、真白が手を置いて微笑む。


 仲が悪かった今までの二人には見る事が出来なかった光景。


 きっかけはどうであれ、二人にとっては良い結果になったのかな。


 微笑ましい空気感。見守るように翠と真白を見つめていると、すすすっと魅墨がにじみ寄ってきた。


「真白な、あんな余裕そうに微笑んでるけど四時に私に電話かけてきて、翠が心配だから朝早く登校して翠達を待ち伏せてくれって頼まれたんだ」


「真白が?」


「真白が」


 魅墨から耳打ちされた情報は、今の真白からはにわかに想像のつかない情報だった。


 余裕そうな表情だが、翠を心配してたのか。


 昨日あんな事があったというのにそれでも翠を心配してくれるなんて、真白も優しい優しい俺の妹だよ。


 俺はツカツカと翠と真白に歩み寄ると二人の頭にポンと手を置いた。


「よっし、二人とも仲良くできてるな! 俺としても嬉しい! まず真白」


「はい」


「昨日は危なかったとはいえ翠を心配してくれてありがとう。そして、今日も翠を気にかけてくれてありがとう」


「ふふ、こちらこそですよ」


 まずは真白を褒めてわしゃわしゃと頭を撫でる。


 真白は満足そうに俺にされるがままになった。


「で、次は翠」


「なあに?」


「ちゃんと謝って、お礼を言えて偉い! ちゃんと仲良くできて偉い!」


「ふふ、でしょ?」


 続いて翠を褒めて真白と同じようにわしゃわしゃと頭を撫でる。


 翠は得意げに高飛車な笑いを浮かべつつ、やっぱりされるがままになっていた。


「うう、蒼司ぃ。私には?」


 魅墨は、頭を撫でられる翠と真白を羨ましそうに指を咥えて見つめた。


 その声は羨ましそうに、小さな子供のように悔しさが滲んでいた。


「誰がするか、タックル女に」


「ええっ!? そんなぁ……」


 俺は舌を出して悪態をつくと、魅墨は悲しそうに人差し指と人差し指をつんつんして俯いた。


 ちょうどいい薬だろう。


「あ、そういえば急がないと服装指導に間に合いませんね」


 真白は思い出したかのように手を叩き、俺はスマホの画面を確認すると、確かにそこそこいい時間になっていた。


 遅刻にはならないだろうが急がないとそろそろやばい。


「……うー、不本意ですが行きますか」


「……だね」


 真白は名残惜しそうに呟き、翠がそれに同意する。


 真白は少し驚いたような顔を見せた後、少し嬉しそうに笑った。


「また後で蒼兄におねだりします? 一人じゃ恥ずかしいけど、二人なら」


「あ、真白それ名案じゃん。そうしよ」


 なにやらこそこそと翠と真白が二人で楽しそうに話し、たくらみ顔で笑っている。


 何を言ってるかは聞こえないように俺をチラチラ見て喋ってるが二人が楽しそうなら悪い会話じゃないだろう。


「うう、蒼司ぃ、私には? 私の頭空いてるけど? それでもしない?」


 微笑ましい二人をよそに、魅墨が恨めしそうに交渉を繰り返す。


「しない」


 俺は手でバツを作ると、魅墨は絶望した顔で俯いた。


「先っちょだけでも」


 魅墨、なんの先っちょだ。

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