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うるさい登校

 身内贔屓は重々承知ではあるが、今日の登校は美人な妹と歩いているせいか視線を感じるような気がする。


 サラリーマンに他校の生徒、近所のおばさんも翠に視線を目にやって、なんて美人なんだと微笑ましく見てる。


 そして、隣にいる俺に視線をやってなんであんなのと歩いてるんだ? って怪訝な視線を送られる。


 まあ、俺への視線についての感じ方は被害妄想であるが、翠を美人として見てる視線は完全にみんな思っているだろう。


「お兄、なにをキョロキョロしてるの? きょどりすぎじゃない?」


「いや、ちょっと視線が気になってさ。今日の翠がお洒落だからか見られてる気がする」


「今日の?」


「あ、いえ、いつもお洒落です」


 翠にツッコミをいれられて、俺はキョロキョロしていた理由を話すと、翠が聞き返してきたので慌てて弁解する。


 とはいえ、別に不機嫌な様子もなくむしろ機嫌が良さそうだった。


「お洒落かー。言ってくれなかったから気付いてないのかと思ったよ。お兄は鈍感だし」


「な、失礼な。俺は敏感だから。すぐ気付くから」


「へー」


 翠に地味に罵られ、俺はそれを否定する。


 しかし、翠は信じてなさそうにじとっと俺を睨んだ。


「な、なんだその目は、こう見えて俺はほんと敏感なんだぞぅ。神経を張り巡らしていろんな変化を感じと……」


「蒼司いいいいい! 昨日は心配したんだぞおおおおお!」


「どわああああ!」


 俺がいかに敏感か高説を垂れ流していると、いきなり背後から大声と共に日○殺○タックルバリのタックルで突き飛ばされ、情けない声とともに倒れた。


 俺の腰はがっしりとホールドされており、冗談抜きで外れそうもない。


 犯人は俺の親友。


「み、魅墨、なにしやがる……。その手をはな……」


 ホールドの主こと、俺の親友魅墨に離すように抗議をしようとするが、俺の抗議の声はものの見事に断ち切られた。


「この、親友の私に連絡しないなんて! 真白に聞いたぞ! ひどいじゃないかあああ!」


「いや、それはいいからまずはなし……」


「だが、ピンチに駆けつけられなかった私も親友失格だあああ! だが、見捨てないでくれえええええ!」


「見捨てないから、ちょっとはなし……」


「本当か! 見捨てないんだな! 流石は私の親友だあああ!」


 ……もういいです。


 諦めた俺は魅墨が満足するまで甘んじてバックハグを受け入れる事にした。


「……ねえ、お兄」


 喚いている魅墨をなんとかしようとする気配のない翠は、俺のそばにしゃがんでぽそりと囁いた。


 その顔は少し悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。


「なんだ?」


「敏感が、なんだっけ?」


「……なんでもないです」


 今更敏感なんて言えるまいて。俺は翠の悪戯な笑みにがくっとうな垂れた。


「魅墨、速いです……。はあ、はあ。何してるんですか……。はあ、はあ」


 そんな俺に救いの声が現れた。


 黄島先生と登校していると思われていた真白が、なぜか魅墨と登校しており、息を切らして駆け寄ってきた。


 まあ、問題自体は解決したから、黄島先生に断りをいれ魅墨と登校する事にしたのだろう。


 真白は魅墨に呆れたように呟くと、膝に手を当てて息を整えた。


「見てわからんか! 親友との熱き語らいだ!」


「わかんないけど、魅墨が馬鹿だって事はわかりました」


「なんだと!? なにをどう見たらそんな風に見えるんだ!」


「今の魅墨をありのままに見てたらそう見えました」


「異議有りだ。異議申し立てるぞ!」


「却下です。ほら、蒼兄が痛そうだから離れてください」


「ああああ! 真白、私と蒼司の絆を離さないでくれえええ! 蒼司もなんとか言ってくれえええ!」


「真白、ありがとう」


「そんなあああ!」


 真白にずるずると引っ張られ、断末魔のような叫びを上げる魅墨。


 俺の真白への感謝を聞くと、悲しみの雄叫びをあげていた。


「ふう、さて」


 魅墨を引き剥がした真白は息を一息つくと、俺と翠二人ともを見た。


「おはようございます。蒼兄、翠」


 微笑みを浮かべて挨拶をする真白とは対照的に、翠はほんの少し顔を強張らせた。

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