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変わるきっかけとやら

 ひとしきり泣いた翠は、涙は収まったものの俺を抱きしめたまま動かない。


 帰ろうか、と声をかけようとは思ったが、俺を抱きしめる手は一向に緩みそうにもないので、まだ帰ろうと思っているわけではないのだろう。


 翠は俺の胸に顔を埋めているので、どんな顔をしてるのかもわからない。


 さて、どうしたものか。


 俺は翠の頭を撫でつつ頭を、自分の頭は悩ませていた。


「ねえ、お兄」


 俺の悩みが伝わったのか、翠は沈黙を破って俺の胸元で俺に声をかけた。


「どうした?」


「うざくない? 大丈夫?」


 なにを今更、と思うような心配を翠は尋ねてきた。


「全然大丈夫だぞ」


「ほんと? 嫌じゃない? キモくない?」 


「おー。全然嫌じゃねえしキモくもない」


「……シスコンじゃん」


 翠は悪態をつけるくらいには回復したらしい。


 最初はしおらしく尋ねてきたが、俺の返答を聞くや否やいつもの翠さんじゃないですか。


 まあ、元気になったのはいい事だ。悪態にはそれなりの対応で返しておくか。


「まあな。世界一のシスコンだ」


「……そんなんじゃ彼女出来ないよ。せっかく身を挺して女の子を守るくらいなのに」


「うっ、痛いところ突くなあ。まあその通りなんだけどさ」


「私以上を見つけなきゃだよね」


「ははっ、翠以上か。そうだな。でも、ハードル高いなあ。クレオパトラも真っ青で楊貴妃も裸足で逃げ出す美人な妹以上なんてなかなか見つからん」


「……バカじゃん」


 さすがに冗談が過ぎたのだろうか。


 翠に言い返すよりも翠に乗っかってベタ褒めしまくった結果、ボソリとバカにされ、翠が俺を抱きしめる力が強くなり思い切り締め付けられた。


 少し痛いくらいだ。


「じゃあ、私に彼氏が出来たらどうする?」


「そうだなあ。俺以上の男じゃなかったら許せないかな」


「……じゃあ、一生彼氏出来ないじゃん」


「ん?なんか言ったか?」


 ボソリと言った翠の声が聞き取れず、俺は聞き返すのに翠を見ると、いつの間にか翠は俺を見上げていた。


 その目は泣いていたせいで目が赤くなっていたが、赤い目が真っ直ぐ俺を貫くように見て、口元はニヤリと笑った。


「お兄のバーカ。シスコン」


 翠は俺の鼻を指で押してまたニヤリと笑い、そして、立ち上がった。


「今日は本当にありがとう。今日だけじゃない、今までも私の為に本当にありがとうね。私頑張って変わるよ。無茶な事はしないし、素直になるし、真白と仲良くする。頑張って変わるよ」


「お、その意気だな。さすがは翠だ、偉いぞ」


 翠の意思表示を聞いて、俺もまたニヤリと笑って立ち上がると、翠に近付いて頭にポンと手を置いた。


「これからを楽しみにしてるぞ」


「うん、お兄はこれまで以上に私の変化を見ててね」


「おう」


 翠は俺を見つめて微笑み、俺は微笑み返した。


 翠はどう変わるのだろうか。


 今回の騒動は決して良い方向の事ではないが、翠が人間的になにかを掴んで変わるきっかけになるのかもしれない。


 ひとまずは何事もなく終わったのだから、一件落着。


 これからの翠を見守るか。


まずはここで騒動ひと段落


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