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オット転生

「1・・2・・3・・」

ほくろはいつ数えても23個。そんな私は御年三十歳。いつまでも変わらない日常が、これからも続く思っていた頃が懐かしい・・・。思えば私の人生は失敗の連続だった。小学2年生の当時クラスの女子にいじめられた。九九の七の段が発音できなかったからだ。言い忘れていたが私は昔から吃音持ちで、どもりどもり挙句の果てに舌を切った。そのせいで彼女もできなかった。部活でもいじめられた。卓球部だった。私はトゥンニに思いを寄せていた。思いは募り、だが伝えられず・・・そのジレンマは私を狂気へと導いた。忘れもしない8月9日の放課後、誰もいない部室で私は彼女の卓球ボールを飲み込んでは産卵。飲み込んでは産卵。何度も・・・何度も・・・。こうして彼女の透き通る肌によく似た純白でどこか幼さを秘めた卵は私の愚かな狂愛のたしなみにより、私の心と一寸たがわぬひどく醜い黄土色の腐卵と化した。私はその腐卵を使用するを見て支配欲に満たされたかった。仕方がなかったのだ。

「バタンッ!!」

その時、部室の扉が開かれた。チエだった。彼はトゥンニの幼馴染であり、後で知ったのだがどうやら彼らは恋人関係であったようだ。私の愛の営みを目の当たりにしたチエ。まるで魑魅魍魎を見たかのような驚いた目つきでこちらを凝視。その刹那、鬼のような形相で一言。

「ぐわしっ!」

私は胸倉を捕まれた。続いてチエは唾をまき散らしながら罵る。

「それは俺のボールだ。お前は何をしている!?」

「シュッ!シュッ!」 

鋭い効果音を発声し(彼の癖なのだ)素早いジャブを私の頬に打ち込む。

「ッパーン!」

大判焼きのような大きな両手で私の顔を挟む。蝶をこれから貪る蟷螂の如く。

「メキメキメキ!」

いつになく鈍い効果音だ。相当激情しているようだ。しかし、卓球部で培われた筋肉など私を持ち上げるには貧弱すぎる。

私はすかさず彼の双球をけり上げた。

「ギャオオッ!」

彼は猛獣の如く吠え、咽び泣いた。

タッタッタ・・・誰かが走ってくる。部室の外から足音が聞こえるのだ。

「チエダイジョウブ?」

トゥンニは言った。私のことに目もくれず・・・。チエだけを見ていた。

あぁ・・・彼女は・・・世界は・・・私に興味が無いのか・・。

その後、私の愚行により退学という処分を受けた。今思えば当然の報いだったのかもしれない。






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