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第五章 1 : 飛び出そう 道は常に 二つある



「――はーい。えー、それでは早速ですが、打ち上げパーティーをはまじめす」


 宿屋オリビア亭の食堂で、九郎がカップを掲げながら口を開いた――。



 ガマの油を手に入れた九郎たちは、ガマザウルスの体を解体し、

 荷物のほとんどをバルサクに持ってもらって山を下りた。

 

 そして翌日の昼下がりに、ラッシュの街に帰還。


 すると、ガマザウルスの体を金貨五十枚で買い取りたいと

 シャルスからの申し出があり、九郎は二つ返事で売り払う。


 そして四人は意気揚々とオリビア亭に足を運び、

 テーブルを囲んでカップを握りしめた。



「よーし、全員カップは持ったな? それじゃあ、念のためにもう一度言うけど、打ち上げパーティーをはまじめす。では、ガマハン作戦の成功と、金貨五十枚の臨時収入を祝して、カンパーイっ!」


「おうっ! カンパーイっ!」

「カンパイでぇす!」

「うむ。苦しゅうない」


 四人は笑顔でカップを打ちつけ、飲み物をのどに流し込んだ。


 オーラは発酵させたぬるい麦汁を一気に飲み干し、

 「ぷはーっ」と大きく息を吐き出す。

 他の三人はアルコールを飛ばしたホットワインをゆっくり味わい、

 ほっと一つ息を吐く。


 そしてめいめい、テーブルに並んだ料理の皿に食指を動かした。


 オーラは大きな鉄皿で作られた魚介の焼き飯を豪快に頬張る。

 クサリンは湯気が立つ土瓶蒸しのキノコに息を吹きかけながら、

 小さな口に運んでいる。


 コツメはナスのホワイトソース焼きを口に突っ込み、

 中央に置かれた山盛りの唐揚げを自分の皿にゴロゴロ落とす。

 九郎は鍋で煮込んだ野菜と練り物にゆっくりと箸を入れる。



「……あー、そう言えば」


 九郎がふと、輪切りの大根を熱そうにかじりながら仲間に訊いた。


「ガマの油はゲットしたから、これでクサリンの目的は達成だ。だけど、オーラとコツメはどうなんだ? おまえらの目的もできる限り手伝うから、言ってみろよ」


「おう。だったらあたしは、ダンジョンに行ってみたいな」



「ダンジョン?」



 訊かれてオーラは一つうなずき、

 焼き海老の頭をかみ砕きながら話を続ける。


「前から行ってみたかったんだけどさ、一人じゃさすがに無理だからな。たとえば、ヒーズロのガブラ神殿とか、ベリンのゴシン大迷宮とか、空に浮かぶ天空回廊とか、ミシンカイにある伝説のアクアリンスとか、そういうところに行ってみたいんだ」


「おいおい、それはちょっと欲張りすぎだろ」


 九郎はオーラを軽くにらむ。


「いま聞いたダンジョンがどこにあるのかさっぱり分からんが、どれか一つにしろ。全部につき合っていたらキリがないからな」



「ん~、じゃあ、天空回廊」



「おまえ、一番難しそうなところをチョイスしただろ」


 じっとり見つめる九郎に、オーラはにっかり微笑んだ。


「おうっ! 夢と希望は大きい方がいいからなっ!」


「大きすぎると、見果てぬオケアノスになるだけだぞ」


「何だよ、そのオケアノスって」


「海の神様のことだ。つまり、地の果てって意味だ。大地の果てをいくら眺めても、それ以上はどこにも行けないし、何も手に入らないからな」


「だったら泳げばいいじゃん」


「あー、はいはい。さすがは力押しの脳筋むすめ。たしかに海に入れば、ワカメかコンブぐらいなら手に入るかもな」


 九郎は軽く聞き流し、今度はコツメに目を向ける。


「それじゃ、オーラの目的は一応聞いたから、コツメはどうだ? おまえの目的って何だよ」



「死ぬまで楽に生き抜くことだ」



 コツメは目元を引き締めて言い切った。

 そしてすぐにまた唐揚げを頬張り続ける。


「いや、そのセリフは前にも聞いたけど、オレにどうしろって言うんだよ。まさかおまえ、一生面倒を見ろって言ってるわけじゃねーだろうな?」



「死ぬまで楽に生き抜くことだ」



 向かいに座る九郎に箸を向けられたコツメが、

 口元を引き締めて言い切った。

 そして山盛りの唐揚げ全てにレモンをしぼり、さらに食べる。


「いや、だから、それはもう分かったから。というかおまえ、唐揚げ全部にレモン絞んなよ。皮のパリパリ感がなくなるだろうが」



「死ぬまで楽に生き抜くこ――ごふっ! ごほごほごほっ!」



 唐揚げを頬張っていたコツメがいきなりむせた。



 コツメはテーブルの横に頭を突き出し、口の中の物をすべて吐き出す。

 それでもまだ、苦しそうにあえぎ続けている。


「お、おい、大丈夫か?」


「わ……分からない……」


 コツメは愕然とした顔で、首を力なく横に振った。


「な……何が何だか分からないが、いきなりものすごい衝撃に襲われた。一瞬で脳みそが焼き切れそうな、とてつもない辛さの唐揚げがあった」


「はあ? 辛いっておまえ、今まで平気で食ってたじゃ――」


 ふと唐揚げの大皿に目を向けたとたん、九郎は鋭く息を呑み込んだ。


 クサリンの前に置かれた小さな壺に、紅蓮の炎のような赤い液体が入っていた。


(ンなっ!? ンなにぃーっ!? あ、あれはまさかっ!? レッドホットなスーパー激辛ヒートソースかぁっ!?)


 九郎はおそるおそる壺を指さし、隣に座るクサリンを見た。


「な……なあ、クサリン。その壺の中身は……?」



「はぁい、なんですかぁ?」



 クサリンは一瞬で壺にふたをして腰のケースにしまい込み、

 無邪気な笑みで九郎を見上げる。



「どうかしましたか、クロさぁん」


「えっ? あ、ああ、いや、今の壺なんだけど……」


「はぁい? 壺なんか、ありませんよぉ?」


「いや、今、そこに置いて――」



「壺なんかぁ、ありませんよねぇ?」



 クサリンは満面の笑みで九郎をまっすぐ見つめている。



 九郎はごくりとつばを飲み込んだ。

 そして、向かいの席でまだむせているコツメをちらりと見て、

 それから小さくうなずいた。


「そ……そうだな。うん。たぶん、オレの見間違いだよな」


「そうですよぉ。うふふ、クロさんもお疲れなんですねぇ。軽く元気になれるお薬がありますけど、よかったら試してみますかぁ?」


「い……いや、明日の朝日も無事に拝みたいから、永遠に遠慮しておくよ……」


「そうですかぁ。それじゃあ、必要になったらいつでも声をかけてくださいねぇ。それと――」


 不意にクサリンが声を潜めた。


「唐揚げにレモンを絞る人って、わたしもちょっと苦手なんですよぉ。なんというか、自分の好みを他人に押しつけるヒトって、社会の敵だと思うんですよねぇ。あ、もちろんコツメさんは別ですけどね」


「そ……そっすね……」


 最高の笑顔を向けてくるクサリンから、九郎はそっと目を逸らした。


(や……やはりこいつだ。コツメの唐揚げに得体の知れない何かを仕込んだのは、この毒ロリ娘に間違いない。恐ろしい……こいつはガチで恐ろしすぎる……。何が怖いって、オレに犯行がバレても、まったく何とも思っちゃいないところがやばすぎる。その上、さっきの壺のことをコツメにバラしたら毒を盛るぞと、暗に言ってきやがった。目撃者を脅迫するって、いったいどういう思考回路だよ。やばい、こいつはマジでやばすぎる。薬師グループってのは、本気で最強の組織のような気がしてきたぜ……)



「――なあ、クロウ。とりあえず、このあとはどうするんだ?」



「えっ!? なっ、何の話だ?」


 いきなり声をかけられて、九郎は慌ててオーラに顔を向けた。


 焼き飯を食べ終えたオーラは、唐揚げをパクつきながら言葉を続ける。


「だからさ、クロウの残り時間って、あと十九日しかないんだろ? だったらすぐにでもサザランの皇帝を倒しに行かないと、まずいんじゃないのか?」


「あ、ああ、そうだな。これからちょうどその話をしようと思っていたんだ。みんな、食べながらでいいから聞いてくれ」


 九郎は他の二人にも声をかける。


 クサリンはキノコを飲み込んで九郎を見上げ、

 コツメはホットワインで口をゆすぎながら小さくうなずく。


「話したいことは二つある。まずは金の話だ。知ってのとおり、ガマザウルスを売ったら、金貨五十枚の収入になった。これは当然、みんなで均等に分けなくてはいけない。しかし、ここで一つ提案がある。オレとしては全員に九枚ずつ分けて、残りの十四枚でみんなの装備を整えようと思うんだが、どうだろうか?」


「装備?」


 オーラが疑問の声を漏らした。

 コツメとクサリンも九郎を見つめて首をかしげている。


「装備って言っても、あたしにはもう、デスポポスちゃんがあるんだけど?」


「それは分かってる。オーラには魔剣があるし、コツメにも小太刀がある。それを買い替えるという意味じゃない。これから先の戦闘を戦いやすくするために、ちょっと工夫をしようという提案だ」


「工夫?」


 そうだ――と、九郎はオーラに一つうなずく。


「いいか? 装備を整えることに関しては、日本のネトゲプレイヤーにはかなりの知識と経験があるんだ。オレはそれほど造詣ぞうけいが深いわけじゃないが、それでもここ数日でみんなのクセはある程度分かっている。だから、それほど悪い提案をするつもりはないし、気に食わなかった場合はもちろん断ってくれてかまわない。そういうわけでとりあえず、さっき立ち寄った鍛冶屋に話はつけておいたから、明日の朝にでもみんなで行って、オレの提案を試してみてくれないか?」


「おう、別にいいぞ。試すぐらいなら、どうってことないからな」


 オーラが気軽に同意すると、コツメとクサリンもそろって首を縦に振る。


「はい。わたしもご一緒しますですぅ」

「うむ。苦しゅうない」


「そうか。よし。みんな、ありがとう。それじゃあ次は、サザランの魔王についてだ」



 九郎はホットワインを一口飲んで、話を続ける。



「えっと、オーラとクサリンは知っていると思うが、このラッシュの街から南西に向かうと、イゼロンという城塞都市がある。その街はサザラン帝国にとって重要な交易拠点で、アルバカン王国との国境に近い場所にある。そして魔王は今、そのイゼロンに滞在しているそうだ」


「へぇ、そうなんですかぁ。皇帝が国境近くまで出てくるなんて珍しいですねぇ。てっきり、帝都のサザリスにいるのかと思ってましたぁ」


 たしかに普通はそう思うよな――と、九郎はクサリンにうなずいた。


「このラッシュの街からイゼロンまでは馬車で三日。帝都のサザリスまでは馬車で六日だから、オレとしては近い方にいてくれて助かった。しかし、魔王がいつまでイゼロンに滞在するかは分からない。だから、装備を整えたらすぐに出発しようと思う。オレを狙っているメイレスと殺人コックが、何かしてこないとも限らないしな。ただ、オーラとコツメは傭兵だから急に出発しても大丈夫だと思うが、クサリンはどうだ? 薬師の仕事は休んでも平気なのか?」


「あ、はぁい。それは大丈夫ですぅ。薬師は山にこもることが多いので、二、三か月ぐらい街を離れることはしょっちゅうですから」


「そうか。それじゃあ、出発は明日の午後にしよう。みんなもそのつもりで準備をしてくれ。それと、イゼロンまでの道は、南西にあるネクパール山の北側を回り込んで行くつもりだ」


「北側? 南側を回った方が、半日ほど早く着くぞ?」


 オーラがふと、疑問を漏らした。


「それはたしかにそうなんだが、南側はアルバカンの領土だからな。昨日の盗賊みたいなヤツらがいないとも限らないから、少しでも安全な道を行こう」


「ふむ。そこまでは分かった。しかしクロ。肝心の魔王はどうやって倒すつもりだ」



「それな」



 不意に訊いてきたコツメに、九郎は顔を曇らせた。


「正直なところ、現時点ではノープランだ。この人数で倒すとしたら、現実的には暗殺しかない。だけど暗殺の方法を決めるには、魔王の行動パターンと地理的情報が必要になる。だから実際にイゼロンまで行って調べてみないと結論は出せない。だけどまあ、何とかなるだろうとは思っている。これでも一応、赤い瞳の暗殺者が活躍するマンガを読んだことがあるし、伊賀と甲賀の忍者たちが殺し合うアニメも三回ぐらい見たことがあるからな。いやー、あれはどちらも傑作だったなぁ」


「ふむ。そうか」


 オーラとクサリンが首をひねる横で、コツメは九郎をまっすぐ見つめる。


「そのマンガとかアニメとかが何なのかはよく分からないが、話から察するに、美しい細身の刀で敵を『斬る』ったり、誰かが『また死んでおるぞ』ったりするような、そんな感じなのだな」


「おいおい、ちょっと待てよ、コツメさん」


 九郎は思わずテーブルに身を乗り出して、コツメをじっとりとにらみつけた。


「何で今の話だけで、そこまで察することができるんだよ。おまえはエスパーか? エスパーなのか? だいたい何だよ。『斬る』ったりとか、『また死んでおるぞ』ったりとかって、まさにピンポイントで核心突きまくりじゃねーか。おまえ、絶対地球人だろ」



「いや、早合点するな」



 コツメは九郎に手のひらを向けた。 


「そのエスパーというのが何かは分からないが、クロの話を深く理解できたことには理由がある。自分の故郷では、誰でも二歳から剣の稽古をするのだが、剣を交える時には、相手の『心波しんぱ』を感じることに重点を置いている」


「は? しんぱ?」


 首をかしげた九郎に、コツメは重々しくうなずいた。


「そうだ。心の波と書いてシンパと読む。心波とは、人間の心の動きだ。相手が剣を構えた時の重心や目線などで、次の動きを先読みするのが心波の基本だ」


「ああ、なるほど、そういうことか。将棋のプロが何百手先まで読むのと同じように、敵の動きを肌で感じて機先を制する技術ってことか。おまえの故郷では、そういうスキルを心波って言うんだな」


「うむ、そういうことだ。ただし、心波は単なる技術ではない。自分の故郷に伝わる秘密の奥義で、一種の魔法だ。そしてこの心波を極めると、相手の心の声を受け取ることができるようになる。つまり、剣を交えた相手や、話をしている相手の思考が、勝手に頭の中に滑り込んでくるのだ」


「えっ? 相手の思考が滑り込むって、マジで? そんなのまるで――」



「――本物のエスパーじゃねーか」



 コツメが九郎の言葉を先回りして口にした。

 

 そのとたん、九郎は驚愕して目を見開いた。


「おいおい、マジかよ、まいったな……。心を読まれるのが、こんなにショックだったなんて思わなかったぜ……」


「勘違いするな。今のは当てずっぽうだ」


 新しい唐揚げをつまんだコツメが、念入りに匂いを嗅ぎながらぽつりと言った。


「はい? 当てずっぽう? 何それ? どういうことだ?」


「簡単なことだ。自分は元々、心波が得意ではないからな」


 コツメはつまんだ唐揚げを慎重にかじりながら言葉を続ける。


「自分はおそらく、ヒトの考えをはっきり聞き取れる段階には、一生をかけても到達できない。しかし、クロの心の声だけは、なぜか時々するりと頭に入ってくる。だから初めて見かけた時から気になっていた。あの村の娘をおまえのところまで連れていったのも、あのヒーラーの依頼を引き受けたのも、そういう理由だ」


「ほう、なるほど。そうだったのか。つまりおまえは、オレの思考から聞きかじった地球の単語を、意味も分からないまま口にしていたってわけか。だけど、何でオレの思考だけ分かるんだよ」


「確実なことは分からない」


 言って、コツメは次の唐揚げに手を伸ばす。


「ただ、クロの体は、普通の人間とは気配が少し異なっている。何と言うか、心が剥き出しになっている感じだ。それで心の声が駄々漏れだから、自分にも伝わってくるのではないかと思う」


「心が剥き出しねぇ……。まあ、たしかにそれは、あるかも知れないな」


 九郎は自分の胸に手を当てた。


(……この体は、オレの精神体を魔法で包んだ作り物だからな。そういう副作用があったとしてもおかしくないだろ)



「……なあ、コツメ」



 不意にオーラがコツメに言った。


「その心波って魔法、あたしにも使えるかな?」


「それは無理だ。さっきも言ったが、心波は一族の秘伝だ。しかも自分は、長老に心波の魔法をかけられているだけだから、教えることができない。そういう仕組みだ」


「ちぇー、何だそうかー。その魔法で敵の動きが分かれば、戦闘で有利に立てると思ったのになー」


「いや、心波はそんなに便利な魔法ではない」


 コツメは自分の頭に指を当てた。


「相手の思考が分かると、その動きに対処しようと体が無意識に反応してしまう。そうすると、自分の攻撃に勢いがなくなる。オーラみたいな力押しのタイプは、何も考えずに攻撃する方が向いている」


「うーん、やっぱそうか。お師匠も同じこと言ってたからなぁ」


「いい判断だ。人には向き不向きがある。それを早く教えてもらえたのは、幸せなことだ」


「おう。それはたしかに、そのとおりだな。サンキュー、コツメ」


「うむ、苦しゅうない」


 オーラはコツメに向かってにっかり笑う。

 そしてすぐに九郎を見た。


「なあ、クロウ。そろそろメインのメシを頼もうぜ」


「はあ? おまえはほんと、よく食うな」


「え~、焼き飯と唐揚げだけじゃ足りないだろ。もっとこう、ガッツリ食べないと、食べた気がしないからな」


「ガッツリねぇ。ま、今日は臨時収入で懐も暖かいことだし、気が済むまで食わせてやるよ」


 九郎は軽く肩をすくめ、三人に目を向ける。


「それじゃあ、せっかくだから鍋でも頼むか。何の鍋にする?」


「そうですねぇ、わたしはキノコ鍋がいいですぅ」

「ふむ。自分はチキンの鍋が苦しゅうない」

「あたしは肉と米の鍋だな」


「おいおい、最初から米を入れたら鍋にならねーだろうが。まったく。それじゃ、鶏肉とキノコの鍋にして、シメはタマゴ雑炊でいいな?」


「おうっ!」

「はぁい」

「うむ、苦しゅうない」


(……やれやれ。女ばかりなのに、ずいぶんとまあ、色気のないパーティーだぜ)


 九郎は不意に、くすりと笑った。


 そして鍋と具材がやってくると、鍋将軍と化してすべてを仕切り、

 三人の待ち娘に野菜多めで取り分けた。



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