リステック一の水産都市 ダル 3
広い駐車場を歩き終え、僕はついに市場に足を踏み入れたんだ。
市場の外でもお魚などの海産物が売られて、独特の生臭さが漂っていたが、中に入ればより一層強烈なものとなる、ちょっと慣れるまでの辛抱。
照明の光は必要最低現の量しか無く、見渡しても遠くは暗く、何があるかさっぱり分らない。
この感じ、独特だし怪しいけど、なんとなくワクワクして楽し気分になるだよ。
街のお店とはまた雰囲気が違うってのもいいね。
一つ一つお店を覗いて見た。
色々な海の幸を売っている、ん、いいねーいかの塩辛、食べたいなぁ。
やっぱり今日は祭り前日と言う事もあり、訪れる人もこの間よりも多い。
人の波に何度も流されそうになって、のんびりお店を覗く事も出来やしない。
仕方ないので立ち止まらずに、取りあえず、そのまま僕は歩きながら、点々とお店を見てった。
あまりに人の数が多く、いやがおうにも向こうから来た人とちょくちょくぶつかってしまう。
「おいこら、何処見て歩いてんだこら」
「す、すいません」
突然、真正面から来た、髭の生えた、物凄い顔のおっさんとぶつかった。
怒鳴られた僕は、どう考えてもおっさんの気を静めるのは無理なので謝ってすぐ逃げた。
「おい待て、もしかしてティコじゃねえのか」
なんと、おっさんは僕の名前を知っていた。
呼ばれたけど恐いんで、やっぱ逃げる。
「待て待て待て、俺だ俺!」
俺って誰さ、怒鳴るおっさんから一刻も早く逃げ、れずに肩を掴まれた。
「おれおれ、な!」
逃げようがないから、しぶしぶおっさんの顔を見た。
……誰ですか。