エリスの家〜ダル
車中、エリスは最初の行き先を告げた。
漁業が盛んな町、ダル。
僕もお魚を買いに、何度か訪れた事がある。
魚市場では活気に溢れていて、その迫力に圧倒された。
しかし、最初にこの町に行くとなると、まだ旅と言うよりも買い物と言う感覚が強くなってしまう。
別に嫌なわけではないのだが、心なしか残念な気分になった。
外を見ても、見なれた海岸線。
もう少し何か、旅らしい出来事は起きないものか。
ガルが僕にくっついてきた。
今のところいつもと違う事と言えば、ガルが一緒に居ることぐらいか。
くっついてきたガルの頭をなでてようかな。
何故か僕にとてもなついてくれる。
このトカゲ顔は最初に見たときは怖かったが、今ではもう可愛く感じる。
エリスの話によると、ガルは今眺めてる、この海岸で見つけたそうだ。
まあ僕もそうらしいのだけど。
僕を見つけた翌日に、この子を発見して助けた。
エリスにはホント、感謝しっぱなしだ。
ふう、ガルの肌はひんやりと気持ちいい。
ついつい顔をすりよせてしまう。
ガルも嫌がらないのでよしということで。
むしろ、喜んでくれているような、気がしないでもない。
正直、ガルの表情はいつも強面なので、何考えてるのかわからない。
だけどエリスはガルと意思疎通ができる。
体の調子やお腹を空かせているかどうかなど。
エリスには判るらしい。
目を見れば判ると言うのだが、未だに僕には全然分からない。
こんなになついてくれて悪いのだけど、僕には君のお世話は出来そうにない。
いつか僕もエリスみたく、ガルの気持ちが理解できる時がくればいいけど。
それには少し努力が必要かな。