リステック一の水産都市 ダル A
ハンパない揺れは治まりかけ、僕は足下に気をつけながら外へ出た。
地面には網やら棒やら、散らかっていて危ない。
ん、すぐ海じゃん。
そこらじゅうが海、まるで浮かんで、そうか……!
ここ船か!
そりゃよく揺れるよ……って、あ、じゃあ、おっさんやばいんじゃないの!?
僕は消えたおっさんを捜すため、船から身を乗り出して海に落ちてないか確認した。
……いない。
船の下に潜りこんでないか見てみたけど、それっぽいのは発見出来なかった。
もちろん、遠くの方もしっかり見たさ。
でも、いないんだよ……。
きっと死んじゃったね……。
おっさんはもう、いない。
そう思ったら、僕の脳裏におっさんとの思い出がフラッシュバックした。
心の中におっさん声がこだまする……。
「おいおいおい……」
あの時は突然呼び止められてびっくりしたな。
「待て待て待て……」
知らないから逃げようとしたらまた止められてうんざりしたな。
あ、そうそう。
この傷、おっさんに引き摺られた時にできた傷だよね。
……ははっ、結局最後までおっさんの名前思い出せ無かったよ。
僕は胸に込み上げてきた思いを、海に向かって全力叫んだ。
「おっさんの馬鹿野郎ー!」
畜生……。
なんで勝手にあの世に行っちゃうんだよ……。
悲しみに浸っていると、辺りが急に暗くなる。
頭上を見上げてみたら、太陽と被る大きな黒い影が。
これは……!
シャチだ!
この悲しみを拭うように駆け付けてきてくれたんだな。
ありがと……?
その時、既に奇跡は起こっていた。
「ティコー!助けてくれー!」
シャチにまたがり、海を猛スピードて疾走する……。
おっさん。
……ごめん、さすがにそれは無理だよ。
おっさんとシャチの影は彼方へと、どんどん遠ざかってった。