リステック一の水産都市 ダル 9
プォ〜、と音で僕はすぐ目を覚ましてしまった。
残念……、うんにゃ幸いにも夢を見る時間は無かったみたい。
でもなんだろ、ここ……。
やけによく揺れるなあ……。
取りあえず、ぐるりと周りを一周見て……どこかわからん。
小部屋みたいだけど、すんごい狭くて、機械がごっちゃごっちゃしてる。
暗くてわかんないけど、円の中心の点から光が出て、それがぐるぐる回ってる画面が映ってて、リズムよくピコピコと音が鳴ってる。
自分でも言っててわかんなくなってきた。
他にも怪しいのがそこらじゅうにあるんだけど、全部さっぱりなので考えるのはやめとこう。
ただね、気になる物があるんだよ。
角が生えた輪っかが回ってるんだ。
それも回り方が変でさ、勢いよく回ったかなーと思ったらスグ止まって、今度は反対に回ったかなーと思ったらまた止まる。
そんな動き、気になるじゃない。
これをさ、どっちかに思いっきり回してみたらどうなるんだろ。
どうせ何にも起きないんと思うけど、何となくやってみたいよね。
そういう事だから、まずは角の部分を持って動きを止めてみた。
やっぱ変化なし。
予想通りだね。
……よし、じゃあ今度は思いっきって回してみよーかー!
「よせ!ティコ!」
おお!
おっさんが現れた、こっちに飛んで、目の前のガラスにへばり付く。
吹き抜けじゃなくて良かった。
でもおっさんが出てきたからって、僕の衝動は治まらないぜい!
だから回してやったさ、力の限りね。
異変は起きた、なんか傾いた、全部。
そのせいで僕は転んで、ちょっと足を痛めた。
おっさんは……。
「むおおおお……!」
……消えた。