出発直前
荷物は積んだ。準備は万端。天気も晴れてる。いい感じだ。
今日、とうとう僕らの旅が始まるのか。
きっと楽しいものになるに違いない。
何処へ行くのか、まだ決まってないけど、目的は明白。
僕の失った過去を探しに行くんだ。
手がかりは何故か持っていた、全く身に覚えのない手帳。
その中の内容は曖昧なもの。
読むことすらできないものもあれば、ごく身近で有名なものまで。
その手がかりを片っ端から探したり、あるいは訪ねたり。
行く先に何が待っているのか分からない。
でもきっと、このメンバーはずっと変わらない。
何でもこなし、何でも知ってる、そして僕を助けてくれた命の恩人。
その名はエリス。
次に。
正体は分からない。でも心優しく、いつも僕を心配してくれる。
ドラゴンみたいな容姿のガル。
何処へ行こうともいつも一緒に違いない。
ボロで小さいけど、僕らを旅へと運んでくれるトラックにエンジンがかかりだした。
運転席からエリスが僕の名を呼んでいる。
「ティコ!出発するよー!」
僕は大きく返事をし、ガルを連れて助手席に乗り込む。
この場所にはもう何度も座ってるのに、なんだか今日はいつもと違うような感覚。
なんだかすごくワクワクするんだ。
僕の隣に座るガルもなんだか楽しそうだ。
エリスがアクセルを踏み、トラックをゆっくりと発進させる。
たった今、僕らの旅は始まりだした。
終わりがいつなのかはわからない。
当てがない無期限旅行。
でも最後にはみんなでここに帰ってこれたらいいな。