8話
「ヨガファイヤー!」
「すげぇ!でもヨガ関係ねぇ!」
「いやヨガパワーを使ってますからね!言うならばヨガの境地!」
ヨガパワーってなんだよ
「ルガルさんフィールさん来たみたいですよ」
職員が入口を指さしながら言った
「おっ」
ショートカットの髪にエルフ特有の耳、うんフィールさんだ
「あっ」
どうやら向こうも俺たちに気づいたみたいだ
「ルガルさんにリーナさん!お久しぶりですね!やっとクエスト受けに来てくれたんですか?」
「ええまぁ、お金がなくて…出来れば半日くらいで終わる討伐系ノクエストとかありませんかね?」
「そうねぇ…ちょっとまってて」
そう言うとフィールさんは受付から数枚の紙を持ってきた
「半日となるとB、Cランクのクエストが多いわね」
「えーと…」
『不死王の討伐』
『骸骨騎士の討伐』
『墓場のゾンビ退治』
「不死王は浄化魔法がないから無理…骸骨は見つけるのがめんどくさい…ゾンビ退治って報酬いくらですか?」
というか討伐指定数も書いてない
「ああ、それは討伐数×100ガルスですね」
「…そんなにゾンビがいるんですか?」
「いや定期的に討伐してたんだけど…クリーチャーが出たみたいで…」
クリーチャー?聞いたことないな…
「どうやらゾンビを生み出しているそうで…」
「ちょっとまってくれクリーチャー?聞いたことないんだが…そもそもゾンビを生み出すのはリッチじゃないのか?」
「マスター、クリーチャーというのは新しい魔物です。最近は新しい魔物が増えてるんです」
「そうなんです。なかでもクリーチャーというのは周囲にいる魔物と同じものを生み出すという能力を持っています。」
なんとも傍迷惑な魔物だ
「ん?でもそんなやつがいたらもっと凶悪な魔物が増えるんじゃないか?」
「いえ、クリーチャーは基本的に自分より弱い魔物しか生み出しません。生み出した魔物は制御は出来ないみたいなので自分を殺せる強さのものは生み出さないのでしょう」
「ふーん…じゃあ今回のは墓場にクリーチャーがきてゾンビを増やしたと」
「そうです。なのでクリーチャーが討伐しない限りゾンビが減らないので…」
それで討伐指定数がなかったのか
「で、クリーチャーってどんな見た目なんだ?」
「それが…わからないんです」
「は?」
「目撃情報が全部バラバラで…これが目撃情報のリストです」
『巨大スライムだった』
『見たことない武器を持ったゴブ リンだった』
『足だけで家くらいの大きさだっ た』
『ドラゴンに変身した』」
「なんだこれ…」
「大きさも武器も姿もバラバラなんです。唯一わかってるのは魔物を生み出す時魔法陣を使用することくらいしか…」
クリーチャー怖っ…
というかゾンビ退治の依頼書の下にクリーチャー討伐の依頼書が…
「そうですか大変ですね俺たちはゾンビ退治のクエスト受けるので…」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!ほら私お望み通りのクエスト紹介しましたよね?」
「そうですね!ありがとうございます!じゃあ行ってくるので…」
ガシッ
「…」
「待ってください!誰もこれ受けてくれないんですよ!」
「しるか!俺の顔にクリーチャー討伐依頼書を押し付けるな!」
こいつ受付嬢のくせに力強え…!
「これやってくれたらSランクにしますからぁあぁ!」
「やだよ!Sランクになると度々呼び出されるって聞いたから俺はAランクで止めたんだぞ!」
「…」
目逸らしやがった
「…いや…王様直々にご依頼なんて光栄じゃないですか」
こいつ国王のこと知ってるな。知らなかったらこんな嫌そうな顔はしない
「マスターそろそろ行かないと食費すら稼げませんよー」
「いやホントにやばいんですって!墓場のゾンビが増えてきてるって苦情がきてるんですよ!」
「わかった!わかったから肩を揺らさないで!吐く!」
…………………………………………………………………………………………
「…じゃあクリーチャーは討伐できそうなら討伐、できなそうなら情報収集でいいか?」
「はい!多分見つけるのも一苦労だと思うので…できる範囲でいいのでお願いしますね!」
「わかりましたー。フィールさんもしクリーチャー討伐したらゾンビ退治の報酬額『×100』じゃなく『×1000』にしてくださいねー」
「えっ」
「じゃそういうことでー」
「ちょまっ」
バタン
「よかったですねマスター!×1000ですって!クリーチャー討伐したら100体くらい退治しましょう!」
…俺は悪くないぞ
1ガルス=1円くらいです。