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Twin knives  作者: 呑み気
6/8

無人

どうにかして どうにかしたい…

バタンッッ

急に 先輩が 倒れた。


「先輩?」


軽く呼びかけてみたが、全く反応は ない。


「先輩 大丈夫ですか?」


慌てて 先輩の 元に 駆け寄り、体を 揺すってみた。反応はない。


さっきの感じだと 強打しているだろう…

かなり 大きい音をしていた。 しかし、 今の 私は 何をどうすればいいかが 分からない。


途方に 暮れていたが、少し 気づいたことがあった。


「先輩?」


正直 見間違いだと思ったが、 時間が経つにつれてはっきり する様になってきた。


先輩が 消えてく…

徐々に 先輩の 体が薄くなっていった。


えっ?どうしよどうしよ…

体を 打ち付けた時より対処の仕方が わからないよ…


そう思っているうちに どんどん先輩の 消失は進んでいた。

結果は 何も出来ずに 先輩が消えていくのを 見るしかなかった。


暗い中で 1人 祠の中で立ち突っ伏していた。

何もわからず ただ 呆然としていた。

先輩の面影は なくなっていた。


かなり時間がたったのであろう。

段々と 朝日が昇ってきて 明るくなってきた。

私は どうすることも出来ず しばらく その朝日を見つめていた。

暇だったので、周りを歩いて見たが、特に昨日と変わった点は見つからず、転移に よって閉じ込められたままだった。


祠に登ると 猛烈な睡魔を 感じた。

そういえば 徹夜したんだった。

私は その睡魔に流されるまま、目を閉じて 横になった。

かなり 寝てしまったと思う。起きたら 真夜中だった。硬い床のせいで 体に痛みを感じる。

今何時だろうと思ったが、時計は 全て2時半になっていることを思い出し、見るのは 止めた。


しばらく 更けていく 夜を見つめていた。

かなり時間がたった気がするけど、特に何もすることが ない。

何となく振り返ってみる。


蒼玉から光が 湧き出ていた。

昨日と同じように。


私は 成り行きの様に蒼玉に 近づいた。近づくにつれて 少し 力が抜けるようだったが、あまり気にしないで 蒼玉の目の前まできた。

手を伸ばして 触れる。


力が抜け、私の体は 重力に 逆らえないようになった。崩れ落ちる。体が 床にぶつかった感覚と一緒、意識が離れていくのを感じた。

目を開けると そこは 薄暗い部屋だった。

天井を見ても 何も無い。光源がないのにも関わらず、一定の明るさを保っていた。

私が寝ていたのは 床だ。但し古い木製の床だった。一旦 私は 今までのことを 振り返ってみて、どんな 状況なのかを再確認してみた。


私は 消えたんだろう。


先輩の例を踏まえるなら、消えたんだろう。そして、ここがその転移先…なら、先輩も いるはず。


薄暗いので 私の持っている唯一の光源であるスマホを 取り出した。まず、床を照らしてみる。


最初に目に入ったのは 赤色だった。 少し見れば 正体が分かった。

血だ…


「ひッッ!?」


生々しい鮮血が、私のすぐ横に滴っていた。

寝ている間に 寝返りしていたら 触れてしまっていたことだろう。

よく見ると 寝ていた場所には 乾いた血がついていた。


気味が悪い場所だ…

段々 先輩がここに居ないんじゃないかと思えてくる。


照らす場所をグルッと変えてみる。

だけど 私は かなり後悔した。

丁度 明かりを当てた先にあったのは


生首……


驚き怖すぎて 声が出ない。私は そのまま固まってしまった。目を離したくても 離せない。そして気づいてしまった …


この生首 動いてる…


「うぅわぁぁぁッッ…」


やっと 絞しだした か細い声が小さな部屋の中に響いた。ついでに 腰が抜けて 床に倒れ込む。そこには さっきの生々しい鮮血があった。生首だけなら 現実でもありえる、だけど この生首 瞬き(まばたき)をしたのだ。

間違いない。


もう そっちを 照らすことを止めた。別の場所にしようと思う。

私は 服に血がついてしまっていることにも気づかないほどに動揺していた。多分 次に恐ろしいものを見たら 気絶すると思う。


私が 倒れていたのは ある机の反対側だった。そして その机の上に動く生首。あの 鮮血は 私からみて左側から 流れてきているようであった、なので 左側を 見ないことを決意する。


私は 右側を見た。 そこにあったのは 扉だった。古めかしい木の扉。しっかりと ノブがついてる。私は ノブに手をかけた。鍵がかかってる…回らない。何度やっても 結果は 同じだった。


また 閉じ込められたというものか…


辺りは とても静かで、自分の 呼吸音や鼓動音ぐらいしか 聞こえなかった。

少しの間扉にもたれて思考してみた。

まず、先輩が 本当に ここに飛ばされたのであろうか?ということ。

あと、ここは 何処か?っということ。


人が 消えてるんだもんね… 私も 消えたんだろうと 考えるのが 普通だけど…


人が消える… そういって思いついたのが 「神隠し」だった。

でも 私が 体験したはずの それは 神隠しとは 少し違っていた。


私は 過去の記憶を 思い出しそうになり、考えるのを 止める。不気味な この空間で 考えることじゃない。


そう思っていると 扉の鍵が開く音がした。

どうやら 向こうから 誰かが鍵を回したらしい。 私は 焦った。 なにしろ 鍵を開けた人は 敵か味方かが 全く 分からないからだ。恐怖が ぶり返す。 隠れる場所など 多分この部屋に存在しない。 だったら…


ガチャッッ…ギィィィィ…


咄嗟の判断での誤算は 扉の構造だった。 この扉は 開くと 壁に ぶつかって90°しか 開かないものであった。扉の裏に 隠れようとした私は 扉と壁に サンドイッチに される。

もちろん 開けた側は 扉が十分に開かないことを 疑問に持って 扉の裏を 見ることになる。


入ってきた人は 私が 仕出かしてしまったことで 予想通りに 扉の裏側を 無言で見に来た。


「あっ レイム やっと来たんだ。」


聞き覚えのある 声。 怖くて 顔を埋めていた私に やっと希望の光が見えた。

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