Still Outside 2
前置きが長いと
感じ始めました。
「綺麗だな」
「そうですね」
レイムが同意する。
「折角だから 拝んでいくか…」
「先輩の奇想天外なところには 相変わらず驚かされますね。」
何か 軽くディスられたなぁ。スルーしよう。
まぁ レイムの ご察しのとおり。
「厨二病魂が 姿を現すぜぃ。」
「やっぱ そっち系でしたか。」
レイムは 普通に受け流す。
「だって あんなにファンタジーチックな建物だぞ。これ 見失ったら絶対後悔する。」
祠を指さしながらそう言い、僕は さきほど壁ドンナンパの時にしまったスマホを取り出してして構える。
ここは 立ち入り禁止エリア この祠が次いつお目にかかれるかがわからないのだ。
だと思ったんだが…
「……!? レイム カメラだせる?」
「カメラモードにしたスマホ持ってるじゃないですか?先輩…」
「いいから 出してみて?」
レイムは 渋々スマホを取り出し構える。
そして 表情が変わる。僕が言いたかったことが伝わったようだ。
「祠がうつらない……」
カメラモードにしたスマホの画面に表示されてるのは 何も変哲もない見た目の林。
レイムの声は かなり震えていた。
人は 不可思議なことを恐怖の対象としてみてとる。例え、幽霊のような類でもなくとも。
だけど 僕は今回のこの不思議な類が好きであった。出来ることならゲーム…物語の世界に入り込んで見たい。いわゆる厨二病である。なんとしても あれを どうにかしたい。このまま帰るという結論は なかった。
「今ご覧の通り 目の前に 肉眼でしか確認出来ないファンタジーチックな祠があります。これは 何らかの出来事の前触れかも知れません。もしそうであれば 私はそんな 突飛な未来に進みたいと思います。」
スマホをしまい、僕はレイムに会釈してから 祠へと進もうとする。祠は湖の中にあるが 飛び石によって 向かえるようだ。
「まっ待ってください。」
レイムが追いかけてきた。
「あれ 帰るんじゃないの?」
「女の子を 1人で山に置いていくなんて考えられません。ちゃんとエスコートしてください。」
とか言っているのに 表情は かなりノリ気である。元々ロリータのコスプレを するぐらいだから 結構ラノベとか 読むのかをしれない。
そんな事を考えながら僕は歩みを進める。
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おかしい 明らかにおかしい。
遠くないと思いましたよ、見た目15mほどだったから。でも 飛び石を歩き続けて10分。まだ 祠の半分ぐらいしか進んでいない。山の一角に こんな広い土地が確保できるわけがない。
「レイム 強行だ。走るぞ。」
「ふぇ?」
というわけで 走った。飛び石自体もそれなりの大きさなので バランスを崩すことがない。
そのまま 走る続けること5分…
確認してみると何故か 道のりの半分程度。
振り返ってみると後ろにレイムがいた。僕の走りに ちゃんとついてこれたようだ。
「なんで たどり着かないんだ?」
僕は頭を悩ませる。
「先輩」
「ん?」
「先輩は 前に進んでいませんでしたよ。」
レイムが いう。
「え?」
「私は 走っていません。ですが 先輩の後ろにいるじゃないですか。」
「あー。そういうことか。」
転移ということか。 走ってると 思い込んでいたが 実際は同じところをグルグル回っていただけなのか。そうか転移か… ますます ゲームらしくなってきたじゃないか。
だが 祠に たどり着くためには どうすべきか。
「僕が 転移してた時って どんな感じだった?」
レイムに 訪ねてみる。少しでも情報がほしいところだが。
「非現実的な風景でしたよ。飛び石三個ぐらいの間をグルグル目の前で…」
「よく そんな光景ずっと見てたよな 声もかけず。」
と いうより 目の前で非現実的な 転移が行われていたのだ。普通は声を上げそうなものである。
「いやぁ そういうようなことには 慣れているので」
レイムは 少し恥ずかしそうな感じだったが、目は虚ろだった。
「さて、どうするか?僕自体は 諦めたくないんだが 到達手段がない。」
「そのことだったんですが。飛び石でループしてしまうなら、林の裏から行ったら良いんじゃないですか?」
レイムは 祠の横を指さす。
確かに、飛び石が ダメなら別の方法しかない。僕はレイムに 同意した。
つまりは 引き返すということである。
僕達は 方向転換し 飛び石の反対側の一端を目指し歩みを進める。
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「ということだ。」
僕はレイムをなだめる。
「すみません もう一回言ってください。」
レイムは 半泣き状態で注文する。さっきの涙目とは違う 若干顔が青い。
「状況は 最悪。」
自分自身も 多分青くなっていると思う。
「僕達は 閉じ込められました。」