コウの企み
『目が覚めましたか。コウ様』
『ダンジョン解放まで後28日です。10ポイント獲得しました』
…どうやら俺は気絶していたらしい。つーかダンジョンマスターになってから、気絶した回数多くねっ!?
『事前に忠告出来ずに申し訳ありませんでした』
「ああいいよ。前よりは進歩もしてたし。それより何で俺は気絶したんだ?」
『初めて魔術を使った際、身体から魔力という未知の力を放出することになります。その未知の感覚に身体が拒絶反応を起こすーーー魔力酔い、と呼ばれるものが発生したためと思われます』
「あっ!あともう一つ。俺が唱えた呪文はファイア、だけど発生した火は球体だったぞ?」
『それは自力で習得せずにスキルを使って習得したためです。通常の場合、最初は火が発現できず、適性のある人は、小さな火だねが発現し、徐々に火を大きくしていく形で習得します。しかし、DPを消費してスキルを習得した場合、魔術を暴走させてしまうケースが多々みられます。魔術を発現するには、イメージする力が大切と言われております。同じファイアでも、蝋燭の火をイメージした場合と山火事をイメージした場合とでは、威力に大きな差が生じます。山火事などをイメージした場合には、術者を巻き込んでしまうことになってしまいます。ですから、暴発しても術者や周りに被害を与えないようにするために、DPを消費し、習得された魔術は、初めて発動する場合、球状になるよう設定されております』
初めて発動した魔術が火属性で、周りに燃え移って気絶してる間に全身火だるまとか嫌だもんな。
さてこれからどうしますか。今一番必要なのは防御力だな。剣術もあげたいが、大切なのは命だ。痛みはスキルのお陰であまりなかったが、あと三回もゴブリンの攻撃を受けたら死んでいただろう。
「防御系のスキルとか、防御力を上げる方法ないか?」
『500DPでオートシールドがあります』
「500か…どうしようか…」
オートシールドは便利そうだが、ポイントのほとんどを持ってかれるのはキツいな。
「ダンジョンの階層を増やすには、なんポイントいる?」
『四階を創るためには500DPが必要となります』
「また500か!どーするダンジョンを取るか自分を取るか…」
考えた結果、コウはダンジョンの階層を増やすことにした。
「ダンジョン内の設定とかできるか?」
『可能です。こちらからお選びください』
目の前に半透明の板が出てきた。たくさん選択肢がある。
「よし!これで決定っと!」
DP:532→32
俺が選んだのは真っ暗な洞窟のような部屋だ。この階には、灯りはひとつもなく、壁は黒く塗りつぶされている。
《合計階層五階を突破したことにより、200DPを入手しました》
《合計階層五階を突破したことにより、新たな魔物を二種召喚できるようになりました》
《合計階層五階を突破したことにより、システムが一部追加されました》
DP:32→232
新しい魔物?ん?どれどれ……
「…コイツはつかえるな両方とも5匹召喚。場所は新しく創った四階で」
DP:232→150
「システムが追加されたらしいんだが、なにが増えたかわかるか?」
『少々お待ちください………ダンジョンに外敵が侵入した場合に、そのレベルと職業が表示されるそうです』
「あっ!あとスキルで産卵を早めるのないか?魔物に習得させたいんだが」
『魔物専用スキルで生存本能が種族全体で、50DPで習得できます』
「では、四階の魔物二種に習得させてくれ」
DP:150→50
一瞬の迷わず、スキルを購入したコウは、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべるのだった。