プロローグ
「だりぃ。どうせ3、4回は休めるし、今日はサボろうかなぁ」
「先輩が言うには、そういう考えの奴ってだいたい単位落とすらしいぜ」
「マジかよ。まぁ、俺なら大丈夫だ」
「先輩が言うには、そういう考えの奴もだいたい単位落とすらしいぜ」
「マジかよ。けど、俺だったら大丈夫だ」
教室内では半月も前には高校生だった人たちから初々しいような、むしろ中途半端に慣れて中だるみしてきたような台詞が聞こえる。それもそのはず。今となっては既に5月。俗に5月病と言う、治療薬の存在しない難病が流行する時期なのである。
「ぶっちゃけ、次の講義怠いからなぁ。俺もサボりたいよ」
1人の男子がつぶやくと、その横から悪友が背を叩く。
「気持ちは分かるぜ。一般教養なんてなんでやらないといかんのか分からんし。でもまぁ、必須科目だから仕方ないっちゃぁ、仕方ないんだけどよ」
彼らは日本の未来を背負う……ほど優秀ではないが、日本の未来を手に持つくらいには優秀な大学生である。
「ただまぁ、留年すると面倒だから受けようぜ。なっ。俺も一緒に受けてやるから」
「なんで付き合ってやるみたいになってんだよ。お前も必須だろうが」
もっとも、それこそみんなが行くから自分も大学へ。と、周りに流されて大学に入ったような2人。それも入った大学は偏差値40の私立。巷では『Fラン』と言われるようなところであり、意欲的に勉強しようなんて気があるわけない。
もし意欲的に取り組みたい『何か』があるとするならば
「とにかく今日はこれでラスト講義。終わらせて野球部に行こうぜ」
大学野球である。




