明日はお出かけ
そのアレンからの誘いは唐突だった。夜家でのんびりミリアが過ごしていた時、いきなりアレンの声が頭の中に響いて、遠話がきたのだと理解する。
「ねぇミリア、僕今度街に出かけるんだけど、一緒に行かない?」
「行く」
そして、その内容は唐突であってもミリアに二つ返事で了承させるものだった。前々から散々話していたからため、アレンはミリアが通常時の街の様子を見てみたいということを知っている。だからこそ、ミリアを誘ってくれたのだろう。
だが、これまでアレンだけで行ってきただろうことだ。ミリアは、自分が一緒に行く意味があるのだろうかと急速に疑問を覚える。
「でも、私が一緒に出ていいの?」
「うん、フィオナ様がミリアと一緒に行っておいでって」
「へー、神様の用事なんだ」
「たいしたことじゃないけど、僕ができることだしね」
女神様直々のご指名ならば、ミリアが街へ行く許可が出るのかと言ったことは心配しなくてもいいだろう。そんなことよりも、女神様が街への用事ができることと、それの仲介役としてアレンが働いていることに驚きだった。いったいどんな用で女神様の代わりに街へ出かけるというお使いを行っているのかが気になる。
ただ、今気になっているところで、分かりはしないだろう。今ここで色々と考えるよりも、実際に見てみた方が分かるはずだ。
「で、いつ出かけるの?」
「明日、授業が終わってからでどうかな?」
「了解。玄関ホール集合でいい?」
なので、実際に行く日をミリアが尋ねた。その結果返ってきた答えは明日というもので、けっこう慌ただしいなとミリアは思う。それでも、街を見に出かけられるだけでも嬉しいことなのだが。
「うん。じゃあまた明日」
「うん、また明日ね」
明日という約束をして、アレンは遠話の繋がりを切った。明日は普段通りの一日の予定だったが、急きょ入ってきた大きな予定が酷く楽しみなものである。ミリアの意識は既に、明日の出かける時刻に向かって飛んでいた。
というわけで、明日から普段の街へ、アレンとミリアでお出かけです。




