シードケーキ
妹と話をしていたら、中世ヨーロッパのバレンタインケーキについて、少し話題になりました。
シードケーキ、というのを食べていたらしいです。チョコレートがまだない時代。
フェンネルや、キャラウェイといった、種を使うたぐいのハーブを、ケーキに入れて焼いたもの。あれは確かに、甘みを感じるハーブだけど……癖のある香りもついてくるし。独特だったろうなあ。
古い小説を読んでると、イギリス辺りでは、六十年代? ぐらいまで、シードケーキを出す店があったみたいだよ、との事でした。ただし、インスタントの、香料入ってるたぐいの「ニセモノ」が出回っていたようです。彼女が読んだ小説の中で、ヒロインが、「この辺りには、本物のシードケーキを出す店はないの?」と怒っていたらしいので。
「本物のシードケーキは手間がかかるから」
材料、レシピを見せてくれました。大変そうでした。
「現代の感覚からすると、甘すぎると思う」
甘みの少なかった時代、たまに食べる甘いものは、とことん甘く作ったんでしょうね。
2010年 02月03日
※キャラウェイ
姫ういきょう。甘味を感じさせる香りのハーブ。消化を良くするとされ、種を魚料理の臭みけしに使った。また、お菓子を作る際に、甘味を強めるために入れられた。
※フェンネル(フェンネル・シード)
キャラウェイと同じく、甘味を感じさせるハーブ。貴婦人たちが、口臭予防に噛んでいた。砂糖衣をかけた『コンフェイト』は、今もインド料理店で、口臭消しに置いてある。(商品名は、マウスフレッシュ・スウィート・フェンネルとか言うらしい)
※シードケーキの出てくる小説
妹の言った小説は、アガサ・クリスティーの『バートラム・ホテルにて』だと思われます。ミス・マープルが、食べている場面があります。
推理物としては「読後感があんまり良くない」と言われる作品ですが、古き良きイギリスのゆったりとした時間や風景、人々の姿などが、ていねいに描写されています。旅情にひたりたいタイプの人には、楽しいと思います。
シード・ケーキの作り方については、ネットであげている人もおられます。また、『アガサ・クリスティーの食卓』という本にも、レシピが載っています。