ふとしたときに、思い出す。
ひと月前に、知人が突然亡くなりました。
心臓の発作で、あっという間でした。まだ若い男性で、残された奥さまが泣き続けていました。
クリスチャンなので、一周忌とか、三回忌とか、そういうのはありません。でも、「記念会」というのがありまして。亡くなった人の友人が集まって、思い出を話し合う会を、奥さまが開かれました。土曜日に参加してきました。
昨日、事務のこまごました事をしていると、横でパソコンをいじっていた男性が、ふと動きを止めて。
「あ。もう、いないんだ」
ぽつっと一言。その人は、亡くなった男性の親友で、いつも一緒に仕事をしていました。細かい事務をしていて、これは彼に頼もうと、今までのように考えてしまい、我に返って思わずそう言ってしまったようでした。
そのまま黙って、じっとパソコンを見つめていました。
亡くなった男性は、どちらかと言うと控えめで、地味な印象のかたでした。けれど彼は、誰からも信頼され、愛される存在でもありました。
しばらくの間、その人の邪魔にならないように静かにしておいた私は、そのあと、黙って紙コップに熱いお茶入れて、横に置いておきました。こういう時は、何を言っても薄っぺらい。逆に相手を傷つけてしまいかねない。
風邪ひかないように、温かいものを。気力が少しでも戻るように、甘いものを。ただしやりすぎは良くない。
で、甘い紅茶を一杯。
出来る事はそれぐらいですが。
そう言えば奥さまにも、お茶渡していたような気がする、私。「このたびは……」とか言ってる人の中で一人だけ、「体を大事にしないと。温かいもの取って、体を温めて」とか言ってた気がする。
いろんな人のお茶係……?
とりあえず、体は冷やすと良くないよ。悲しい時でも。
2010年12月13日




