妖精さん。
日本紅茶協会の、ティーアドバイザーの試験に合格しました。
なぜ受かったのか謎です。ボロボロだったのに。
マークシートではなく、記述式の試験。漢字を忘れている忘れている。法規? マーケティング? なにそれ美味しい? な状態。ホントにどうして合格したんだろう。
普段の生活で、きちんと紅茶に向き会ってれば、半分ぐらいは楽に取れる試験ではありましたが。手抜きはせず、感覚を鋭くして、旬の茶葉と向き会う。香りに感動し、色に喜び、味を味わう。…面倒だと保温ポットで適当にいれて飲んでいると、あっと言う間に感覚が劣化。知識も劣化。
仕事にしてない人には、少し大変なんですが。こういう機会があると、自分を再点検するきっかけにもなりますね。この一月、教科書引っ張り出して、基礎のいれかた、ひたすらやってました。
それはさておき。
『妖精さん。』
いきなりなんだ、と思われるでしょう。
しかし、みなさん。言ってみた事はないですか。
「妖精さん、妖精さん、お願い助けて手伝って~!」
主に、徹夜状態で、でもまだ仕事が上がってない時などに、虚ろな眼差しでつぶやく言葉です(私はそうです)。
* * *
正直な働き者を手助けするお手伝い妖精の話は、昔からあちこちにあります。最近ではハリーポッ〇ーにも出てました。ゲーム、アトリエシリーズの妖精さんもその系統。
そんな訳で、切羽詰まった人々が思わず、涙目になりつつ言ってしまう訳です。
「妖精さん、助けて~」と。
しかし、良く考えると、発言した人間は、かなりな自信家であると言えるでしょう。なぜなら、自分の事を「私は正直な働き者です!」と断言している事になるからです。
妖精が助けてくれるのは、そういう人々ですから。
なに胸張って言ってるわけ? となるわけです、普通なら。
そう言ってしまうほど追い詰められているのだと解釈もできますが。
そういう訳で。私も滅多には言いません。冗談か、多分来ないとの前提の元、口にするセリフです。それしか言いようがないほど切羽詰まる時に、自虐的に言うとかね。とかね!
でも言ってしまう事はある…。
数年前の深夜。徹夜続きで切羽詰まった私がいました。
絵を描いていました。締め切りまで六時間。
しかし体力はもう限界。
風邪をこじらせ、立っている体力がなくなっていました。食べると吐くので、一週間ほど主食がアイスクリームでした。それもあって朦朧としてましたが、締め切りは待ってくれません。で、なんとか筆を握り、色を混ぜ、絵を完成させるべく、描いていました。ちなみに腕が震えてまっすぐ線が引けないので、筆を持つ手にもう片方の手を添えて線を引いてました。
その時ふと、「妖精さんが手伝ってくれたら…」という思いが脳裏を掠めたのでございます。
「あ~。こんな時に妖精さんがいてくれたら…」
逃避です。
でもなんか、口にしたら本気になってきました。
「妖精さん…妖精さん。助けて下さい手伝って~」
ぶつぶつ言いつつ、筆を洗い。色を混ぜ。
「この絵~、朝までに仕上げたいんです~」
ドライヤーに手を伸ばし。
「だからお願い手伝って~…」
そこで、はた、となりました。
私は今、妖精に助けてとお願いした。
が。
本当に来てくれた場合、一体、何を頼めば良いのだろう。
色を混ぜるのをやらせる訳にはいかない。なぜなら、自分の色を作るのは、私にしかできないから。
塗ってもらう訳にもいかない。なぜなら、筆のタッチは私にしか出せないから。
構図を考えてもらう訳にも…だってもう仕上げだし。第一、オリジナリティなくなるじゃん、私の絵じゃなくなるじゃん、ツマンナイじゃん。
じゃあ一体、来てくれた妖精さんに、何を頼めば良いんだ!!!
アホな疑問ですが、その時は真剣でした。徹夜ってオソロシイ。
考えました。
すごく考えました。
すごく、すごく考えました。
そして出た結論。
「妖精さん、妖精さん、助けて下さい、手伝って…朝までにこの絵、仕上げたいので、
その辺で踊ってて下さい!!!」
……やって来た妖精さんに、ただ踊っててもらうという願い事しか、私には、思いつけなかったのでございます。
結局、締め切りを一時間オーバーして絵は仕上がったわけですが。あの時の私の周囲にはきっと、妖精さんがわんさかやって来てたんじゃないかと思います。
そうして、絵を描く私の周囲で、みんなしてくるくる踊ってたんじゃないかと…。
チアリーダーかい。
だって他に、頼める仕事なかったし!
頼み事するにも、人間による、という例のような出来事でした。
今日もきっと、目に見えない妖精さんが、どこかでくるくるチアリーダー。
あなたの側でもチアリーダー。
応援の踊り「だけ」をしてくれます。いやもう良いよそれで……。癒しになるからさ。たぶん。
2010年11月11日




