肉まんとピアノ
何のつながりがあるんだ、というタイトルです。しかし実は、個人的に。とても深いつながりのあるものなのでした。
『風邪とピアノ』に書きましたが、ゆずはらは教会でピアノを弾いています。
朝早く行って、少し練習をしたりもします。と言うのも、家にあるピアノと、教会にあるピアノでは、音が微妙に違う。鍵盤を押した時の感触も少し違います。なので、違和感を感じないように、ちょっと弾いて慣れておくわけです。
ある日曜日。ゆずはらは電車に乗って教会に向かいました。
冬でした。寒くなり始めた頃でした。
朝早いので、人はまばらです。眠いなとか寒いなとか思いつつ、電車に揺られていると……。
いきなり電車が止まりました。
線路の凍結でしばらく動かせないと言われました。はあ!?
しかも電車降りろと言われました。いや、ここどこですか!?
普段、降りない駅に降ろされ、電車は行ってしまいました。
小さな駅です。駅の中に一応、新聞やらお菓子を売ってる店はあるものの、販売員は一人のみの、小さなもの。
そして、待合室がない。
……………。
冬です。
線路が凍結するぐらいの寒さです。
ベンチに腰掛けて寒さをしのごうとしましたが、防げるものじゃありません。
一応、一時間ぐらいしたら動くよ~、と言われました。それまで待て、とも。
しかし、この時私は、ある事に気がついて引きつりました。
余裕を持って来たから、何とか礼拝には間に合う。
でも、……この寒さでは指がかじかんで。電車が動くようになった後、教会に駆け込んでも、まともに動くかどうかわからない。
教会に連絡を取りました。事情を説明して、間に合うように行くが、もし間に合わなかった場合、誰かに奏楽を頼んで欲しいと。
次に購買店に走りました。何か指を温めるものないか! と思って。
「カイロありますか!」
「あ~、まだ入れてません~」
何て事だ。いきなりの寒さだったので、店の中の品物はまだ、冬用じゃない。
傘はあるのに! カイロがない!
売られている商品を見回していた私は、一つのものに目を止めました。そうして言いました。
「そこの肉まん、二つ下さい」
そうして電車が来るまでずっと、私は肉まんを握りしめ、指を温めていたのでした。
結論を言いますと、ぎりぎりで間に合いました。指もかじかむ事無くきちんと動きました。ピアノを弾く私の荷物の中に、冷えた肉まんが入っていたのを、後から教会に来ていた小学生に見つけられ、ちょーだいちょーだいと言われたのが印象深かったです。
肉まんって、大事だよ!
ちなみに缶コーヒーではダメです。金属なので、熱すぎて握っていられなくなります。
2010年01月15日




