ミントミルク
ペパーミントのティーバッグで、チャイを作る事があります。
以前、家庭教師(というか、自宅に呼んで教えてた)をしていた生徒が、「牛乳飲めない」と言ったので、ふと思いついて、ペパーミントのティーバッグでチャイを作ってみたのでした。
手鍋に牛乳を入れて温める。ティーバッグの袋を破いて中に入れ、煮る。牛乳がぶわっと膨らむ寸前に火を止めてしばらく置き、茶漉しを使ってマグカップに入れる。少しハチミツも入れました。
牛乳の匂いがミントの香りで消え、ティーバッグの中の粉状ミントがこぼれて入っていて、何やらパチパチするような感触が舌に残る。面白い味になりました。
「これなら飲める!」
生徒が喜んでくれたので、何度か作って出しました。そんなある日。忙しかった私を見た母が、
「今日は私が淹れてあげる」
と言いだしました。大丈夫かなと思いましたが、手順を教え、ティーバッグを渡しておきました。
やがて休憩時間。母が持ってきました。
二人してそれを飲み……。
無言になりました。
香りがない。水っぽい。
何をどうやったらこんな味になるんだ。
言った通りに淹れたのか、と母に尋ねたところ、
「ちゃんとやったわよ。ちょっと簡単にしたけど」
どうやったんだ!
「だって、お鍋使うの面倒だもの。レンジ使ったのよ」
だから、どうやったんだ!
「マグカップに牛乳とお湯いれて、レンジでチンしてからティーバッグ入れたのよ。同じ味だったでしょ?」
全然違う!
全然違うから! それ!
水増しした牛乳をレンジで沸騰させた後に、ティーバッグ入れてちょっと揺らして、出来上がり~! としたらしい。香りが出るわけない。水っぽくなるわけだ。
なんか脱力しながら、もう一度手順を教えた。
でも、次もやっぱり、レンジでチンした水っぽいのが出された。
「だって、面倒なんだもの」
頭にきたので、鍋で作って入れたのを飲ませてみた。母は言った。
「やっぱり、同じ味じゃない!」
それ以来、何があってもお茶は私が淹れ、母には一切、手を触れさせないようにした。あり得ないだろう。あれが同じ味だなんて。
2010年05月01日




