ダージリン、ファーストフラッシュ
試飲会に行ってきました。
ダージリンの春摘み茶。新茶です。
ダージリンには旬が三度来ます。春摘みのファーストフラッシュ、夏摘みのセカンドフラッシュ、秋摘みのオータムナル。摘んだ時期によって、全部味が変わるという、ハマる人はとことんハマる茶葉です。
今年(2010年)のファーストフラッシュは、茶葉の個性がかなりはっきり出ていました。雨不足で収穫量が少ない分、風味が凝縮されたらしい。
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試飲会に行くと、入荷した茶葉が、茶園ごとにずらりと並び。説明が書いてあります。そうしてそれぞれ、トレイがあって、小さな紙コップに少量ずつ注がれた紅茶が置いてあります。
それを飲んでゆく。ひたすら飲んで、飲み比べる。
うれしいけど体力いります。集中力も。
二十種類以上あるので、少量でも、飲んでいたら舌が疲れてきて、味がわからなくなります。そういう時は、説明を見るのが、味の手がかりになります。
「フラワリー…花の香りが強いのか」
「果実香…柑橘系の香りがするのか」
このあたりはまだ、わかりやすい。
しかし、何十種類もある、良く似た味の(違うものはかなり違うが…)茶を表現しようとすると、説明が、何ですかソレになってくる。
「澄み切った空を思わせるすっきりとした…」
そうですか。
「春の木立を思わせる風味…」
よくわかりません。
「霧の草原の野ぶどうを思わせる…」
なぜ霧の草原。
「針葉樹のような風味の奥に、ほのかな甘味」
うーむ。何となく、こうかな、とは思うのですが。
説明を考える人は、みんな詩人だと思いました。
ちなみに「霧の草原の野ぶどう」は、飲んでみると確かに、ぶどうのような果実香がありました。着香した人工的な強い香りではなく、茶葉そのものが持つ香りです。気をつけないと気づかないような、繊細な香りなので、舌が荒れたり、疲れて体調良くない時には、わからないかもしれません。
「あ、…ん〜、ぶどう、だけど鋭いカンジもある、野性味あるぶどうって香り…でも、あんまり後味が渋くないから…丸みちょっとアリ? だから霧? だから霧なのか?」
いっぱしの批評家のようです。
ちなみにこれは、ナムリン・アッパーという茶葉でした。
「あ、ヒルトンが…みかんの香りが復活してる」
ヒルトン農園のファーストフラッシュは、「緑茶っぽい味」と言われ、飲みやすいのですが、たまに、みかんの香りがつきます。果実香、と言われるものですが、なぜか「みかん」。オレンジじゃなくて、日本のみかん。二年前はありましたが、去年は微かにするかな、ぐらいだった。今年は、かなりはっきりある。
「うわ、グームティ、出来が良い…飲みやすい」
「バーネスベグ、上出来。甘味と風味ナイス」
ぶつぶつ言いつつ、一番人気のピュッタボンクイーンの前へ。
説明には、こう書かれていました。
「野性のランを思わせる気高い花香と新緑の風味」
何かよくわかりませんが、すごそうです。
飲んでみました。
「……」
うわ。
ランかどうかはわからんけど、花咲いてるよ、口の中でさりげなく。
舌先で転がしてから、飲み込む。喉を通り過ぎるさわやかな風味。
後味が甘い。渋くない。
「はりゃ〜…」
すんごい。
値段を見ました。
50グラム、3800円。
「ありゃ〜…」
こっちもなかなか。わかってたけど。
気を取り直して、隣の茶葉を試飲する。シンブーリ・スーパーファイン。こちらも人気が高いもの。
説明を読む。
「満開のモクレンのような、高貴な味わい」
モクレンですか。
飲みました。
「……」
うわわ。
花。花咲いてますまた。ピュッタボンクイーンよりはすっきり? だけど花ですコレ花。
後味も甘いなんか甘い。
「コレもすんごい…」
値段も3800円ですんごい。二つ買えない。他の全部諦めないといけないじゃないか…!!!
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結局、シンブーリとヒルトンを買って帰りました。
さあ飲もう、じっくり飲もう、ふふふふふ。怪しい人になってます、今。
2010年 05月22日




