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001_幕間

魔「2、か……」


 世界との対話を終え、魔王は目を薄く開いた。

 4畳一間のアパート。麻央馬男の姿で魔王は座布団の上に座り直した。


 この三日で増加した『ぶくま』は2だった。


ア「だから、言ったではないですか。

 そんなに簡単なものではないのですよ」


 アスモデウスは顔を上げずにこたえた。

 壁に背を預けて座り、ノートになにかを書き連ねている。


魔「ちなみに、創造神は『1話目で2人も?』とニマニマしておった……」


ア「まあ、デフォルト0の人ですから」


魔「『このまま50話続けたら、100行っちゃうじゃん!』と目を輝かせておった」


ア「……その計算で合ってます?」


魔「しかしな……」


 魔王は自分の手のひらを見つめた。

 淡く熱を感じる。


魔「『ぶくま』2でも、魔力が戻ってきておるようだ」


ア「それは、なによりでございます」


 アスモデウスは、小さく笑みをこぼした。

 ペンを握る、その手は止まらない。


魔「これまでの獄炎魔法に加え、水と風の魔法を使えるようになったようだ」


ア「あの線香花火、獄炎魔法と呼んでいるのですね……」


魔「見ておれ!」


 魔王はゆるやかに片腕を掲げた。

 全身の魔力がほとばしり、空気そのものが悲鳴をあげる。

 そして世界の根源を押しのけて超常の力が姿を現す。


 チョロチョロチョロ……


 魔王の手から水がしたたり落ち、コップの底に水たまりを作った。


ア「……ジジイのションベンかと思いました」


魔「余は、女性がそういう言葉使うの、どうかと思う」


ア「風の魔法も、同じ感じでしょうか?」


魔「見るか?」


ア「結構でございます。興味ございませんので」


魔「……」


 アスモデウスはペンを脇に置いた。描き上がったのだ。

 ここで今日初めて、アスモデウスは顔を上げて、魔王に目を向けた。


ア「そんなことより、魔王様。新たに挑戦を開始しましょう。


 『ぶくま』の増加数が0~ 5なので、別のなろうテンプレに変更でございますね」


 アスモデウスは小首をかしげて魔王を見た。


ア「そして……今回は、わたくしにお任せいただけるのですよね?」


魔「……なんかお前、今日上機嫌だな……」


ア「ええ。わたくしは魔王様の従順なしもべ。魔王様のお役に立てることが無上の喜びでございます」


魔「ほ、ほう……


 して……どのような、なろうテンプレを?」


ア「もちろん……」


 アスモデウスは、ノートを広げて見せた。

 そこには、見開き一杯に描かれた、転移の魔方陣。


ア「追・放・です♥」


 アスモデウスは、満面の笑顔を浮かべた。



●現在の『ぶくま』:  2 (本当にありがとうございます!)

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