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味方以上の理解者


 あくまで単なる推測に過ぎないが、神の目的をクリスは彼らに説明する。


 神という代物は理不尽で不条理であるように見えるが、神には神の理がある。

 それに逆らぬことは出来ず、ある種、人以上に神は多くのしがらみに縛られていると言えるだろう。


 例えば、今回は破られたが、神は本来『人の世界に来ることはできない』。

 惑星サイズの質力を持つ神と人が直接交流することはスケール的に難しいからだ。

 もしも神がそのままで降臨すれば、世界そのものと相互干渉を起こし、世界はそのまま崩壊を始める。


 そもそも、人という生物は本来神と直接対話するだけの能力を持っていない。

 それができるのは、惑星と同規模の情報密度を持った存在……わかりやすく言えば、星と同じだけの力を持った存在だけとなる。


 そういった人と神は異なり、同じ場所で共に居られないという不文律を破り、この世界に神を呼んだのだから、アンサーの用意した代物がそれだけとんでもなかったということである。


 封印された神が封印を破り神の世界に向かう程度なら、出来ないことはない。

 問題となるのは、神の世界ではなく、人の世界に降りたということ。

 情報密度そのままに人のサイズまで圧縮したという事実の方にある。


 そしてこの縛を破られたという事実は同時に、非常に面倒なことをも示している。

 つまり……神による救援はしばらく期待できないということ。


 間接的支援程度は出来るだろうが、直接神が乗り込んでくるにはどれだけの時間が必要かわからない。

 いや、それ以前に……。


「今さらだけど、神様による支援はないと思った方がいいの。神託がね、まったく降りてこないから」

 数日ほど待ってみたが、エナリスからの命令はない。


 これまでは、命令がないことは単なる気まぐれや我儘の可能性があった。

 だが、直接神が乗り込んできた状態でそれは絶対にありえない。


 言い方は悪いが、神にとっては人が大勢死ぬことなんかよりも、自分の座を脅かす神が現れた方がよほど重大である。


 それなのに、どの神からも神託が降りてこない。

 エナリスなんて信仰という太いパイプがあるにもかかわらず。

 であるなら、その理由も簡単に考えられる。


 神託を出さないのではなく、出せない。

 それはこの世界と神域が遮断されたことを意味していた。


 神の世界、そのつながりを断ち切るなんてこと、普通に考えたら不可能である。

 だが、既に相手はユピルを弱体化させ堕天させるなんて不可能なことを成し遂げている。

 世界の隔離くらいやってのけてもおかしくはなかった。


 もう一つ、あらゆる神が逆らうことの許されない絶対の真理が存在する。


 それは『信仰』。

 神にとって信仰は自らを支える血であり、成長させるエネルギー。

 信仰なくば神は己を維持することさえできない。


 これはどのような状態であろうとも、神である以上逆らうことの出来ぬ共通のルールである。

 だからこちらに落ちてきたユピルも、必死に馬鹿な真似をしながら信仰をかき集めようとしていた。


 そう考えると、こちらに侵略してきた神の狙いも想像できる。

 つまり……。


「今頃は人々に改宗を迫ってると思うの。……ありとあらゆる手段を持って」

 生き残るため、神座を奪い取るため、神としての本懐を成し遂げるため、神々への復讐のため。

 あちらの神の動機、目的がたとえどのようなものであろうとも、行動はたった一つに収束する。

『人々から信仰を集めること』

 そのためにこちらの神域との接続を切り、神をこちらに招いたのだろう。


 そうクリスが語り終えたあたりで、ユピルがそっと目を覚ました。


「おはようユピル。さっそくだけど状況は最悪なんよ」

「説明は必要ない。全部聞いていた」

「それは良かったんよ。歩ける?」

「悪いがしばらくは無理だ。当然戦うこともできん」

「うぃうぃ。コヨウ君。悪いけどユピル運んであげて。そんでレオナルド様と合流してこの場を離れるんよ」

 クリスの言葉に、リュエルは顔を(しか)めた。


「……いる? あいつ」

「絶対いる。たぶん死なないけど、もしもがあるから。彼が死ぬのは世界の損失なんよ」

 クリスとしてはこの騒動そのものよりもレオナルドを優先している。

 だが、そんな無茶苦茶な考え理解できるわけがなかった。


「……まあ、アルハンブラやスローリは役に立つし」

 リュエルのそれは不承不承……というよりも無理やり自分を納得させるような言い草だった。


 そうして部屋の扉をクリスが開け放つと……。

「ちょっと待って。何か変な気配がする」

 コヨウはあやふやで薄い、誰とも知らぬ気配を察知し警戒のためクリスにそう進言する。

 だけど、その声は届かない。


 コヨウがそう言った時、既に二人の姿はどこにもなかった。

 キィ、キィ、と半開きの扉が風で動いている。


 コヨウとユピルは自分たちだけとなり、顔を見合わせた。

「……これ、不味い?」

 コヨウの言葉に、ユピルは答えられない。

 その答えを明確に口にできるほど、彼は情報を持っていなかった。




 見知らぬ部屋、見知らぬ椅子、見知らぬテーブル。

 椅子に座りながら、クリスはきょろきょろと周囲を見回した。

 知っているのはテーブルの上にあるお菓子と、正面にいる相手くらいなもの。


 そのクッキーは、クリスが王城にいた時ヒルデに出してもらっていた最高級品のそれ。

 王城御用達ということで、ハイドランド首都王城付近に一店舗しかない極めて希少性の高いものであった。


「高くなかった? それ」

 クリスの言葉にその相手……小さな少女は微笑む。


 美しい、陶磁器のような白い肌に輝かしい白銀の髪。

 それはまるでアンティークドールのような、この世のものとは思えない美しさがあった。

 彼女のことをクリスは知っている。


 本名は教えてくれないが『白猫』という名前で、そしてクリスの――いや、黄金の魔王の『敵』である。

 一応、暗躍している黒幕らしいのだが……いまいちうっかり癖が強いのと不憫癖があって、どうにも決まり切らない感じの三枚目系の敵だが。


 事実、クリスは『彼女の背後に誰かがいること』と『その相手に逆らえないこと』や『敵を名乗っておきながら性根は割と素直で良い子ということ』なんてあまり接点がないとは思えないくらい、悲しいほどにボロが出ている。

 ゲームで言えば、最初に自分が黒幕だと名乗った後、途中でリタイアし意味深なことを言う役どころになるだろう。


「今、なんかすごく失礼なこと考えなかった?」

 白猫はジト目でクリスを睨む。

 クリスはそっと目をそらした。


「それで、これどういう状況? 今回の騒動は白猫ちゃんの仕込みだったの?」

「いいえ、今回の黒幕はちゃーんと、あんたらの目の前で死んだあいつよ。関係性で言えば、横の繋がりって感じになるのかしらね」

「もしかして、悪の組織同士の助け合いっ……て奴!?」

「なんでそう目をキラキラさせてんのよ。嫌な言い方だし。まあ、間違ってはないんだけどさ。というわけで、これはお手伝いついでのあんたへの嫌がらせよ」

「ふむふむ。ちょっと考えていいかな?」

 白猫が『ふふん』というような表情で『どうぞ』としてから、クリスは考えるポーズを取った。

 別にどんなポーズでも良いけど、せっかく敵さんの前だからと、ちょっと思わせぶりな恰好をクリスは取っていた。




 まず、大前提となるのは白猫は敵であると言ってくれたこと。

 黄金の魔王という存在を知り、その上で戦ってくれるとても貴重な相手であり、しかも能力的には本当に殺してくれるかもしれない。

 ランキング十位にも入らないけれど、それでもちょっとは期待している。


 それで、今回の騒動はあまり自分たちに関係がないと言った。

 実際そうなのだろう。

 やり口や目的が、黄金の魔王を中心にしていない。

 今回は徹頭徹尾宗教戦争である。

 つまり、アンサーが黒幕の計画というの言葉に嘘はないだろう。

 そこまで考えて、ふとクリスは思い出したことがあった。


「あのさ、アンサーって私の知り合いっぽかったけど何か知ってる?」

「あらそうなの? どんな気分? 知り合いに目の前で死なれて」

「うーん……。覚えてないことが申し訳ないんよ。なぜこんなことをしたかと、私とどういう関係だったのか。せめてそれくらい弔い代わりに知ってあげたいんよ」

「はいはい傲慢なことで。悪いけどアンサーの過去については全く知らないわ。黄金の魔王関連ということさえ知らなかったくらいよ」

「そか。ごめんね」

 謝罪をして、クリスは再び思考の迷路に。


 ここがどこかわからないが、一種の隔離空間なのだろう。

 対魔力が高い自分を一体どうやって転移させたのかという気持ちはあるが、さすがに教えてはくれないだろうし、それを教えるようでは敵でなくなってしまう。

 いや、聞けばうっかり教えてくれそうでちょっと怖いから聞きたくはない。

 これ以上なれ合い感を出されると、さすがのクリスも困惑せざるを得なくなる。


 だから『なぜ』……ということを考える。

 何故、クリスをここに連れてきた?

 嫌がらせということは困ることを企んでいるのだろうが、その内容がわからない。


 ここで戦う……というつもりはあまりなさそうに見える。

 本気で戦うつもりなら、孤立させた時点で殺しに来ているからだ。

 だったら彼女の目的は……。


「誰が目的? ユピルの確保? それともコヨウ君?」

「それ以外よ」

 白猫は案外素直に答えてくれた。

「リュエルちゃんか……。なぜ、とは聞かないんよ。助けに行かなきゃ」

「ということをさせないために、ここに貴方を呼んだのよ」

「ふぅむ。戦う流れ?」

「それも悩んだんだけど……やめたわ」

「えー。なんでー。私の敵なんでしょ? 悪の大魔王を殺すんでしょ?」

「うっさいわね。そうしたいけどさ、あんた殺しても死なないじゃない。わかってるのよ。今の弱体化したあんたを殺したら、無制限の黄金の魔王になるってこと」

 白猫は大層不本意そうに呟いた。


 実際のところ、白猫が転移させたのは『自分とクリス』『自分の手駒とリュエル』の二つである。

 己が信仰に殉じた彼の成功率を若干でも上げるために、アンサーの作戦は正直どうでもよいけどなんて自分に言い訳と屁理屈をかまし、クリスとリュエルを隔離した。


 そして、ついでにここでクリスと戦おうと白猫も最初は考えていた。

 ただまあ、最大の誤算はやはり化物である。


 封印状態の今のクリスなら、たぶん勝てる。

 絶対とは言えないが、寿命を含め全てを使い切れば殺せる可能性もなくはない。

 だがその結果出てくるのは絶望のみ。

 殺した瞬間に封印は解除され、そしてその影響で自動で蘇生が始まる。


 封印解除なんて何時でも出来ることに命を引き換えるなんてのは、自殺の手段としてもワーストに等しいだろう。

 そんな馬鹿馬鹿しいことに命を捨てるくらいなら、日がな喰っちゃ寝していた方が何度も有意義な命の使い道だ。

 だから、白猫はここでは戦うつもりはなかった。


「というわけで、二人で観戦しない? 私の用意した手駒と、あんたが期待するリュエルちゃん。どっちが勝つかをさ、ここで」

「ふむふむ……。なるほど、それで、同意した時の対価は?」

「終わった瞬間、あんたをあっちに送ってあげる。そしてあんたとリュエルを元の場所でも別の場所でも、好きな場所に運んであげるわよ。何なら手紙の一枚くらいなら届けてあげるわよ? 誰でもね」

「割と大判振る舞いだね」

「あんたの時間を奪うって考えたら、それくらいはね」

「なるほどねぇ。わかった。その話、乗った。だから私もクッキー食べて良い?」

 さっきまで何を言っても平然としていた白猫が、顔を顰め、まるで威嚇するような表情になった。

 そして熟考に熟考を重ね……皿の半分をクリスの方に用意し、紅茶を淹れた。

「ご、ごめん……そこまで悩むとは……。やっぱ遠慮して……」

「いいから受け取りなさい! ホストとしてゲストを歓迎するのはマナーなんだからいいの!」

「こ、今度返すから……」

「絶対よ。この騒動終わったら取り立てに行くから、すぐよ」

 若干涙目になっていたことに、クリスは気付かないふりをした。




「さて、とりあえず映像を見る前に前情報を説明するわね。リュエルについてはそっちの方が知ってるだろうから……」

「うぃ。その相手について教えて欲しいんよ」

「名前は……まあ何でもいいわ。とりあえず『ヘルパー』とでも呼びましょうか」

「アンサーと言いそんな感じの名前が流行ってるの?」

「自分より目的が優先されると、そういう名前つけたくなるんじゃない。知らないけど」

「白猫ちゃんの名前は?」

「内緒。んで、ヘルパーって奴は……まあ一言で言えば究極の善人で、かつ人格破綻者のサイコパス」

「わぁお。ろくでもなさすぎるんよ」

「あんたへの当てつけよ」

「私への?」

「そ。あんたが『最大多数を救うという善行』を為し続けながら、己を『悪』と断じるから、その反対で『人類に対し悪徳行為』を『善意』で行る狂った奴を、私は手駒に使ってるの。ただの当てつけとして」

「悪趣味なんよ」

 そう、クリスは楽しそうに笑う。


 悪趣味で、明確に人類社会への敵で、そして黄金の魔王について深い見解がある。

 ああ……敵だ。間違いなく、彼女は敵だ。

 その事実が、クリスには嬉しさを招いていた。


「そうね。正直、私もそう思ったわ。特に今回は。ヘルパーの行動理念は『人助け』で、人が幸せになることだけが彼の幸せに繋がるわ」

「それなら良い人じゃない?」

「そうね。それだけならそうかもね。でもさ……幸か不幸かなんてものは具体的数字にできるものじゃないわ。それなのに『絶対の幸福』を、あいつは人に与えようとする。その結論が、例えどのようなものであれ。そしてそれが駄目なら、憐れみながら来世幸せになれるよう祈りを捧げる。そういう行動理念なのよ」

「うーん。綺麗事しか言ってないのに嫌な感じがむんむんなんよ」

「そういう奴だから、まあ相対したら最悪なことになるね。そしてそいつのターゲットは今、リュエルに集中してる。私がそう仕向けたんだけどね」

「なるほどねぇ……。サイコパスによる偽物の人助けと、勇者の本物の人助け。悪くない対局なんよ」

「あんたもあんたで感性が酷いわね本当に。仕掛け人の私が言うことじゃないけど。ま、そういうわけでお二人を閉じ込めたらどうなるか、ここでゆっくり見ていきましょ」

 そう言ってから白猫はあちら側の映像を空中に映し――すぐさま、映像を消去した。


「白猫ちゃん?」

 だらだらと汗を流す白猫。

 映像を消した理由は、純度百パーセント善意であった。


 恋したことがないとは言え、これでも少女漫画愛好家である。

 多少の恋愛的感性を白猫は持っている。

 だからこそ、これは、同じ乙女としてさすがに不憫すぎる。


 あいつがやろうとしていることは、人の心の中で最も柔らかい、自分さえもが直視したくない部分を周囲に曝け出すという類のことである。


 リュエルはきっと、その心を誰にも、特にクリスにだけは見られたくない。

 自分自身が最も目を背けたい部分を強制的に直視させられる。

 一番醜い部分を、外道の善意によって顕わにされる。


 そんな自分を、好きな相手に見られていたと知れば、最悪自害するかもしれない。

 確かに、今回のことで白猫はリュエルを排除しようとしている。

 最悪殺すことになってもいいとさえ。

 だが、その手段に心の傷からの自害を取ることだけはない。

 そんな手段を取るほど白猫は悪辣にはなれなかった。


 そんな理由で映像を消したのだが……ここに一つ、大きな問題がある。

 白猫は、この事実をクリスにどう説明すればいいか、まるで想像がつかなかった。


「えっとね……とりあえずさ、あんた、誰かを好きになったことってないでしょ?」

「うぃ? 世界みんなが大好きだよ?」

「あんたが好きなのは世界そのもの。箱推しって奴じゃない」

「否定しないんよ」

 ニコニコとクリスはそんなことを口にする。


 クリスは世界を愛している。

 そこに区別はない。

 つまるところクリスにとっては、傍にいる人も、そこいらの小石も、そう大差ないのだ。

 そして白猫は、それを愛であるとは絶対に認めるつもりはなかった。


「そうじゃなくて恋人とか夫婦とかの話なんだけど……あんたにゃ絶対理解できないわよね。『自分を殺してくれそうな相手』と『好感度』をイコールにしているあんたには」

「おおう。本当に私のことを良く理解してくれてるの。どうして知っているのって驚きたいけど、ちょっと嬉しさの方が勝って笑ってしまうの」

「私は逆にあんたのそういう部分は心底嫌いよ。ま、そんなあんたじゃなかったら世界なんて滅んでるでしょうけどね」

 誰も贔屓せず、ただ誠実に、世界のためだけに働き続けた。

 そんな黄金の魔王がいたからこそ、平和は成り立った。

 それを知っているし、理解もする。

 そうなった土台もあるし、世界が黄金の魔王に頼りすぎた過去も知っている。


 それでもなお、白猫には納得できないことであった。


「それであんた、交尾……は、さすがに猫とは言え品がなさすぎるわね。性交の経験はそれなりにあるんでしょ?」

「うぃ。ハニトラ対策やご褒美として部下に要求されたり諸々で、まあそれなりに」

「それなり(数万人)ねぇ……。あんた、それをリュエルには言わないようにしなさいよ。さすがに不憫すぎるから」

「もちろんなんよ。レディに対し当然のモラルなんよ」

「あと、これ単純な疑問なんだけど、子供がいないのはどうして?」

「え? 私の子供として生まれるなんて可哀想じゃない?」

 クリスは『何当たり前のことを?』みたいな、きょとんとした顔を見せる。

 一瞬、怒りが頂点に達し、手に持つ紅茶をぶっかけようと白猫の身体が動く。

 それをなんとか意思で押さえつけた。


 こいつはこういう奴なのだ。

 そんなこと最初から知っているだろう。

 そう自分に言い聞かせ、一つ、浅く溜息を。


「そんなあんたにどう説明すればいいかわからないんだけどさ、この戦いをリュエルが見られたら凄く傷つくわ」

「それは、勇者的な意味での挫折?」

「まさか。乙女的な意味よ」

「そか。女心はわからないけど、白猫ちゃんが言うならそうなんでしょう」

「あら、思ったよりすんなり納得してくれた」

「うぃ。白猫ちゃんには信頼があるからね!」

「私、あんたの敵なんだけど!?」

「良い子なのは良く知ってるの」

「良く知られるほど会話した覚えもなければ会った記憶もないけど!?」

「十分わかるの」

「……ねぇ。私さ、あんたの好感度ランキングに何番目くらいになってる?」

「申し訳ないけど、十番以内にも入ってないんよ」

「それつまり、私あんたの敵として十番以内に入ってないってことじゃない!? 私あんたの敵として宣言したのに!?」

「ちょっと性根が良い子すぎるんよ……」

「最悪だ……。なんで私、懐いてしまった小動物みたいな扱い受けてんのよこいつに……」

「ところで、リュエルちゃんの戦い見れないのは納得したけど、その間どうしよう?」

「うっさい! それを今ずっと考えてるのよ! いいからクッキーでも食べて待ってなさい!」

 そう言って白猫はクリスの口にクッキーを押し込みながら、どうやってあちらの戦いが終わるまで時間を稼ぐか必死に考えていた。



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