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黄泉比良坂の名探偵  作者: 如月いさみ


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黄泉比良坂の人質

「昨日、お父さんにそれとなく聞いたの」

もしかして社長さんのお子さんに啓二君ていう6歳の子いる?

「ってね」


それに二人とも椅子に座りながら通路に立って話す八重子を見た。

彼女は少し屈んで

「それを聞いた途端に」

まさかお前…今日社長のお子さんを何処かで見たのか?

「って凄い形相で聞かれたの」

と告げた。


武士はどきどきしながら

「そ、それで?」

と聞いた。


八重子は頷いて

「私は…もしそうだったら?」

とカマかけたんだけど

と言い

「そうしたらお父さんが」

なんか小学校帰宅時から行方不明になったんだって

「それで上層部は大騒ぎだったんですって」

と告げた。


武士と巳湖斗は顔を見合わせると

「「それかも」」

と同時に告げた。


巳湖斗はタブレットの電源を落とすと両手を合わせて

「これが解決したら特別補講受けます」

と言うと鞄に直して立ち上がった。

「取り敢えず小学校へ行ってくる」


武士も同じようにタブレットを仕舞うと

「俺もいく」

と告げた。


八重子も立ち上がりかけたが、武士は

「悪い、八重ちゃんは俺と巳湖斗が体調崩したって治ったら家で補講するって万が一先生に聞かれたら言っておいて」

と告げた。

「聞かれないと思うけど」


八重子は顔を顰めたモノの

「わかったわ」

何かあったら電話して

「一応、父は会社の課長だから」

と告げた。


それに巳湖斗も武士も頷いて立ち去った。

小学校は徒歩圏内で丁度JRの線路を挟んで反対側にあった。


2人は小学校の前へ行き門から少し離れた住宅の角に立った。

武士は巳湖斗を見ると

「どうする?」

学校の警備員さんに聞いたら怪しまれそうだけど

と告げた。


巳湖斗は頷いて

「ちょっと試してみる」

と言い小学校の門前まで進んだ。

そして、門のところで立っていた警備員の男性に

「すみません、昨日のことですけど笹倉社長のお子さんのお迎え誰か来られました?」


警備員はじっと巳湖斗を見つめ

「君は?」

と暫くの沈黙の後に聞いた。


巳湖斗は周囲を見て

「俺は神蔵巳湖斗と言います」

実は昨日平坂で笹倉啓二君を見たので心配になって

と告げた。


警備員の男性は直ぐに

「ちょっとこちらへ」

と言うと校舎へと連れて行こうとした。


巳湖斗は「あ、少し待ってください」と言うと武士を見て小さく頷いた。

武士は慌てて駆け寄ると

「巳湖斗」

何があったんだ?

と聞いた。


巳湖斗は頷いて

「昨日、平坂で啓二君を見た事を言った」

と告げた。


武士は驚いて

「え!?」

信じてもらえたのか?

と聞いた。


巳湖斗は頷いて

「みたい」

と答え、二人揃って警備員の後ろについて校舎の中へと入っていった。


応接室へと通された2人の後に二人の人間が入ってきた。

笹倉啓二の担任である道原玲子と校長の太田孝志であった。


道原玲子は座るなり

「それで啓二君は?」

どんな様子でした?

と聞いた。


巳湖斗は冷静に

「その、やはり啓二君は誘拐されているんですか?」

と聞いた。


それに警備員も玲子も孝志も顔を見合わせた。

警備員は息を吐き出し

「これは極秘で」

実は私が見たのは校門を出て手前の家の角を曲がっていくところまでで

と告げた。


巳湖斗は頷いて

「あの、いつも同じだったんですか?」

と聞いた。


警備員はそれに

「いえ、そう言われると」

少し急いでいるような感じで

「何か楽しみがあるような感じでした」

と告げた。


巳湖斗は「なるほど」と言い

「その、一つ聞きたいんですけど」

誘拐と確定したのは何故?

「行方不明で雪の下になってる可能性もあるのに」

と告げた。


それに玲子が

「その、笹倉さん宅から学校に電話があって」

最初は帰ったかどうかの確認で

「帰った事を伝えたら変な人が周囲にいなかったかと」

それで尋ねたら

「誘拐したという電話があったと」

100億用意しなければ殺すと

と告げた。


巳湖斗は目を細めて

「恐らく、犯人は啓二君を助けるつもりはないと思います」

と告げた。

「幾らIZUMO精機の社長の子供でもその金額は用意できないし現実的でなさすぎると思います」


それに玲子も警備員も孝志も顔を見合わせた。


巳湖斗は両手を組み合わせて

「初めから啓二君を殺すつもりで…それを金が原因だと思わせたいんだと思います」

と告げた。

「本当にお金だけならもっと現実的な金を要求すると思います」

3億とか1億とか

「用意できるか出来ないかくらいの」


武士は「なるほど」と呟いた。


巳湖斗は蒼ざめる3人を前に

「その、昨日…啓二君が家に帰ったら彼が喜ぶようないいことがある予定だったとか」

あとネゴシエーションしたかとか

「今から笹倉家に電話をして確認してもらえませんか?」

と告げた。

「それに犯人が応じたかどうかを」

応じなかったとすれば間違いなく殺すための理由のための誘拐です


それに驚いて直ぐに玲子が立ち上がると電話をかけに出掛けた。


孝志は汗を拭いながら

「それで、啓二君を見たというのは」

と聞いた。


巳湖斗は2人を見て

「平坂伝説は御存じですか?」

と聞いた。


孝志は一瞬「は?」と聞いた。


巳湖斗はそれに

「平坂で死んでいく人が見れるという」

と告げた。


孝志は「ああ」と言うと

「そう言う噂の話は」

と呟いた。


そう、平坂伝説は地域の人間なら知っているのだ。


巳湖斗は冷静に

「俺はそこで彼を見たんです」

と告げた。


孝志は慌てて

「いや、あれは眉唾と言う話が」

と告げた。


巳湖斗は首を振り

「本当です」

と告げた。


警備員は2人を交互に見てどう反応して良いか分からなかったのである。

それは先の会話で巳湖斗の言っていることが理解できるからである。


そこへ玲子が戻ると

「その、電話があって…100億を減らすことが出来ないと…用意できなければ明日の朝に死体と面会することになると」

と告げた。


巳湖斗は立ち上がり

「電話口に啓二君は出ました?」

と聞いた。


玲子は頷いて

「はい」

泣き声だけだったそうですけど

と泣きながら告げた。


巳湖斗は玲子を見ると

「それで昨日何か家で彼が喜ぶようなことは?」

と聞いた。


玲子は首を振り

「いえ、別にそんなことはなかったと」

と告げた。


巳湖斗は腕を組むと

「先ず間違いなくこのままだと啓二君は殺されます」

と言い

「時間がありません」

笹倉さんの家へ連れて行ってください

と告げた。


警備員は慌てながら

「いや、だが」

流石に

と告げた。


武士もあわてて

「巳湖斗、そうだぜ」

と告げた。

「もう美玖ちゃんは大丈夫だし…無理は」


巳湖斗は息を吐き出すと座り

「いや、俺は出来るだけ助けようと決めたから」

と言い

「恐らく犯人は親族にいる」

でないと本当に身代金目当てでないと意味がない

と告げた。


全員が固唾を飲み込んで巳湖斗を見た。


巳湖斗は警備員を見ると

「啓二君はいつもと違って慌てて走って行っていたんですよね?」

と聞いた。


警備員は頷いた。

「はい、走って門を抜けて行きましたから」

そうですね

「笑顔でした」


武士は巳湖斗を見た。

「それが何か?」


巳湖斗は頷いて

「うん、多分」

犯人は顔見知りで且つ彼が安心できる相手だと思う

と告げた。

「多分、外で彼と待ち合わせをして誘拐したと思う」

だから彼はその人物と会う事に楽しみがあって笑顔で走って行ったんだと思う


巳湖斗は玲子を見ると

「啓二君は両親が好きだと思います」

他に仲の良い人物とかは?

「彼が良く会話に出している人物とか」

と告げた。


玲子は笑顔で

「ご両親とあとお兄さんとは仲が良かったわね」

ゲームを一緒にしたとか喜んで話していることが多かったから

と告げた。


巳湖斗は立ち上がると

「よし」

と言うと

「やっぱり笹倉さんの家に行ってくる」

と告げた。

「それでお兄さんの正一君から話を聞く」


玲子と孝志は驚いて

「何故、名前を?」

と聞いた。


巳湖斗は笑むと

「企業秘密です」

と言い

「ありがとうございました」

と頭を下げた。


武士も慌てて頭を下げて巳湖斗と一緒に小学校を出た。


時間はない。

明日の朝には恐らく彼は殺されているのだ。


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