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黄泉比良坂の名探偵  作者: 如月いさみ


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黄泉比良坂の子供

森瑠衣が入院している病院もそれほど離れてはいなかった。

20分ほど走り川沿いにある大きな地域の総合病院に着くと受付へ行き森瑠衣の病室を訪ねた。

が、返事は意外なものであった。


受付の女性は残念そうに

「ああ、森瑠衣さんなら一週間前に亡くなりました」

本当にお気の毒に

と告げた。


巳湖斗と火無威は顔を見合わせた。

そう言う事だったのだ。


巳湖斗は大きく息を吐き出し冷静に

「先に聞いた水沼さんが俺達よりも先に女性が聞きにきたって言ってた」

その女性はやっぱり森瑠衣くんの母親だと思う

「俺はただ…誰からその水沼さんの話を聞いたのかってことが気になって」

と告げた。

「もしかしたら、その飯島元気くんが蹴ったって言った2人の内のどちらかかも知れない」

それで水沼さんの話を聞いたらやっぱりって思うかも

「本当に時間がない」

それにもし母親ならなりふり構っていない可能性があるから


火無威は頷くと

「わかった」

と時計を見ると

「11時か」

と呟いた。

「急がないとな」


4人が飯島元気の家に行くと門の前に一人の女性が立ってた。


火無威は側道に車を付けた。

巳湖斗は飛び出すと

「森さん!」

と名を呼び、ちょうど家の戸を開けた少年を見た。

「飯島くん!戸を閉めて中に入って!!」


それに女性は一瞬巳湖斗を見たモノの直ぐに鞄から包丁を出すと足を踏み出した。

が、それに素早く飛び出した蜻蛉はじむが門を開けて突っ込みかけた女性の手を掴んで抑えた。


女性は驚く少年に

「貴方が息子を池にケリ入れて殺したんでしょ!!」

返して!!

と叫んだ。


巳湖斗はそれに

「違います」

と答えた。

「貴方、森瑠衣さんのお母さんですよね?」

恐らく原道重一くんか笹口慶太くんに聞きに行ったんじゃないんですか?


女性は巳湖斗を睨みながら

「そうよ!」

いつも息子の口から2人の名前が出ていたから確かめに行ったのよ

「新聞に載っていた同級生って貴方達じゃないのか!?って」

そうしたらケリ入れたのは飯島元気だって言ったのよ

と告げた。

「勿論、最初は信じなかったけれど」

水沼さんに確認したら彼が側にいて

「2人がそう言ったって言ってたわ」


巳湖斗は息を吐き出して

「違います」

飯島元気くんが蹴った痕跡がなかったそうです

「警察も2人の言葉と水沼さんの話を聞いて足跡や状況を調べたけれど…彼が蹴った痕跡がなかったんです」

と告げた。


そして愕然と立っている飯島元気を見て

「君が見た全てを話してあげてください」

森瑠衣君は一週間前に亡くなったんです

と告げた。


飯島元気はそれに息を吐き出すと

「あの時、俺はちょうど帰る途中で池の方で声がしたから覗き込んだら」

原道と笹口が何時ものように森を虐めていて

「やめろよって」

そうしたら2人は慌てて逃げようとして森を払って

と口をつぐんだ。


森瑠衣の母親…森妙子は驚きに目を見開くと

「ま、さか」

と呟いた。

「本当なの?」


元気は小さく頷いた。


巳湖斗は冷静に

「水沼さんの話は俺達も聞いてきました」

2人は一旦逃げるように去った後で

「水沼さんが飯島君の助けを求める声に行こうとした時に戻って彼が蹴ったと言ったそうです」

もし純粋に助けに行こうと思ったなら水沼さんに駆け寄って直ぐに話したと思います

と告げた。


彼女はしゃがみ込んで

「そんなー」

と泣き崩れた。


巳湖斗は彼女の横に行き

「貴方が復讐する前で良かった」

と言い、顔を向けた彼女に

「貴方が復讐していたら貴方の息子さんは貴方の帰りを待ち続けなければならなかった」

と告げた。


それに全員が顔を向けた。


巳湖斗は彼女の手を掴み

「彼はきっと毎年、毎月、貴方が姿を見せてくれるのを待っています」

だって貴方が大切に育てて貴方の真心が伝わっていないわけがない

「彼は貴方が毎年、毎月、沈んだ顔ではなく微笑む顔で会いに来るのを待っていると思います」

と告げた。


彼女はそのまま泣き崩れ、飯島元気は彼女の前に座り

「俺、森君を助けられなくて…本当のことを言えなくて…すみませんでした」

と告げた。


彼女は首を振ると

「いいえ、私こそ誤解をして…ごめんなさい」

でも

「こうやって止めてもらって良かったわ」

息子を救おうとしてくれた貴方を手にかけてしまうところだったわ

と告げた。


巳湖斗は安堵の息を吐き出すと火無威を見た。

火無威は静かに頷いた。


蜻蛉はじむは佐用駅に戻ると

「原道重一と笹口慶太についてはちゃんと話を聞こうと思っている」

と告げた。

「水沼氏から話をちゃんと聞いて」


七尾雄一も笑顔で

「いや~、そう言うのあるんだな」

俺も何かあったら力になるから連絡をくれ

と巳湖斗とLINEを交換した。


巳湖斗は笑顔で

「ありがとうございます」

また連絡いたします

と答えた。


翌日には七尾雄一からLINEで原道重一と笹口慶太が全てを自供したという連絡が入った。


巳湖斗は安堵の息を吐き出し、自室の窓から外を見つめた。

「美玖…ちゃんもこれで新しい年を越せるはず」

ちゃんと向き合って

「俺の気持ちを伝えないと」

振られても

「…気持ちにケジメが付けられるから」


同じ時、有栖川美玖は巳湖斗のところへ行くために決意を固めていたのである。

ホテルからスタジオに着くとメイク係にメイクをしてもらいながら

「年末年始の特番が終わったら巳湖斗君に会いに行こう」

巳湖斗君に私の気持ちを言う

「ちゃんと言う」

と心に決めてそっとペンダントを握りしめた。


メイクアーティストの桜庭かおりはそれを見て

「それ、最近ずっとしているね」

美玖ちゃん

と告げた。


美玖はハッとすると頬を染めて

「はい」

大切なペンダントだから

「これを手にしていたら元気出るので」

と答えた。


…だから巳湖斗君に会いに行く勇気を…


ゆっくりと一年が過ぎ去ろうとしていたのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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