黄泉比良坂の詐欺師
武士は校舎に向かって歩き出しながら
「そう言えば、先週お前が聞いてた射場とかいう人?」
なんかニュースで流れてたけど
「まさか、そいつのことじゃないよな?」
と告げた。
巳湖斗は視線を僅かに明後日に向けて
「あー、違う」
叔父さんの知り合いだった
「だから忘れてくれていい」
と返した。
武士は笑って
「だよなー」
と言い
「美玖ちゃんは来週ある日本映画祭の主演女優賞にノミネートされているし」
東京行って特別上映会見たいなぁ
と告げた。
巳湖斗は昨夜の電話を思い出し僅かに頬が熱くなるのを感じながら
「それより、今日は4コマとも主要五教科だから頑張らないとな」
と話を逸らせて足を進めた。
明後日も彼女が無事でいるかどうか。
無事だったら、その翌日から二週間以内に誰かを助ける。
それであの古書の記述が真実かもわかるだろう。
巳湖斗は校舎を見上げながら
「無事でいてほしい」
と呟き、教室へと向かった。
その日は先日までとは打って変わって極々平凡な1日であった。
翌日の土曜日に武士と会って遊び、日曜日はゆっくりと過ごした。
その日の夕食の時に原稿に一区切りがついたらしい叔父の火無威から
「今日、電話するんだろ?」
と聞かれた。
巳湖斗は麻婆豆腐を食べながら
「する」
と告げた。
「連絡が取れたら明日の帰りに…平坂で振り返る」
火無威は頷いて
「もしそれで彼女が無事だったら…穴川さんに言って大学教授の人と話をしようと思っている」
また原稿を持って東京へ行くことになるが
「その時は留守番頼む…」
と言いかけた。
が、それに巳湖斗はハッとすると
「あ、叔父さん」
そのもし10月21日でも良かったら俺も行きたい
と告げた。
火無威は驚きながら
「ん?」
どうした?
と聞いた。
巳湖斗は少し考えながら
「もしかしたら武士も一緒かもだけどいいかな?」
武士さ
「10月21日にある映画祭に行ってみたいって言ったから」
と笑顔で告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。