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黄泉比良坂の名探偵  作者: 如月いさみ


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黄泉比良坂の自殺志願者

政一は涙を落とすとそのままテーブルに突っ伏した。

「俺が倉庫点検で美術品の中の粉を見つけた時に…会社がどうなっても良いのか?会社を失えば生活がと言われて」

でもこのままじゃ俺は犯罪に手を貸して

「家に迷惑が掛かると思って…死ぬしかないと…」


母親は政一に腕を伸ばすと

「政一、言ってくれたら…」

と泣きながら抱きしめた。


巳湖斗は微笑んで

「きっと、氷室さんは咄嗟に言った言葉に自分も傷ついていたと思います」

貴方を傷つけ苦しんでいたから凄く辛そうでした

「だから俺達に話してくれたんだと思います」

と告げた。

「最後の一線で彼は貴方の為に全てをなげうった」


だから

「貴方も勇気を出して真実を明らかにしてください」


政一は顔をあげて頷いた。

「ありがとうございます」

それから

「氷室にも…俺は礼を言いたい」


巳湖斗も武士も八重子も笑顔で頷いた。


八重子は部屋の端で泣いていた留美子を抱き締めると

「もう、大丈夫だから」

と告げた。

留美子は泣きながら抱きしめ返して

「ありがとうー」

と告げた。


政一は母親と共に警察へ行き全てを話した。

警察は倉庫を抑え、同時に本社も抑えた。


数年前から営業推進部の部長である浜俊三と経理部部長が極秘に行っており、大半の社員は全く知らなかったのである。


会社の打撃は大きかったが取締役社長が謝罪会見を開き、同時にコンプライアンスを更に強化し外部会社の定期的な点検を受けることにしたのである。


政一はひろしに礼を言い友情は続いていくことになるのである。


無事に事件が解決し3人は安堵し帰宅との途について、校門前に立って空を見上げた。

夕刻の黄金が空と町を覆い照らしている。


その中で武士は巳湖斗を見ると

「巳湖斗、お前…どうしてここまでするんだ?」

と聞いた。


巳湖斗は「は?」と振り返った。


武士は真剣な視線で巳湖斗を見ると

「お前、美玖ちゃんが好きなんじゃないのか?」

と告げた。

「だってアイドルでも会った事もない彼女の為にそれだけ走り回ってさ」

普通はしないぜ


だって、彼女の生死はお前のせいじゃないし


巳湖斗は立ち尽くした。

武士は笑むと

「どうして此処までお前が頑張るのか…彼女を死なせたくないと思う気持ちの向こう側のお前の本音」

ちゃんと向き合えよ

と言うと八重子の手を掴んで

「じゃあ、な」

と歩き出した。


巳湖斗は暫く呆然と立ち尽くし

「…俺が、有栖川さんを死なせたくない理由…」

と呟いた。


最初は後味が悪いと思ったからだ。

呪われたら怖いと思ったからだ。


でも。

でも。


彼女の死の原因は確かに自分にあるわけじゃない。


でも。

でも。


巳湖斗はポツリポツリと歩きながら降り出した雪を身体に積もらせながら坂道を上り切ると自宅の前に立った。


『巳湖斗君、私が今凄く頑張れてるのは巳湖斗君がいるからだよヾ(@⌒―⌒@)ノありがとう』


あの時、胸が温かくなった。

いや、それだけじゃない。

彼女が見せてくれる心が自分の中に届いて…彼女を助けたくなる。


巳湖斗は迷いながら

「けど、それをなんていうのか」

俺には分からない

と呟き、一歩を踏み出すと家の戸を開けた。


雪は降り積もり世界を白く染め始めていた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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