黄泉比良坂の自殺志願者
武士はそれに
「そう思うけど」
と答えた。
…。
…。
ひろしは火無威を見ると
「その…鈴木に聞いていると思いますが」
そうなんです
「鈴木には申し訳ないことをしたと」
と小声で呟いた。
「お前は知らなかったんだからと言っておいてください」
武士と八重子は顔を見合わせた。
火無威も息を小さく吐き出した。
が、巳湖斗は前に乗り出すと
「それで鈴木さんは救えないと俺は思う」
何があるのか教えてください
と見つめた。
「貴方が鈴木さんのお兄さんを今も同期で親友だと思うなら」
彼を本当に救ってください
「俺、今の一言で貴方が今も鈴木さんのお兄さんを同期で友人だと思っていると分かるので」
…真実を教えてください…
ひろしは顔を顰めたものの
「うちの大社にある倉庫の美術品の中に…粉が…」
と小声で告げた。
「鈴木はそれを偶然知ってしまったんです」
倉庫の在庫点検の時に
「明日には取引があるので」
巳湖斗は彼の手に手を乗せると
「ありがとうございます」
鈴木さんのお兄さんが友達だと言ったのが貴方で良かった
と笑顔を見せた。
ひろしは目を見開くと俯き
「ありがとう」
と返した。
その直後に扉が開き、浜俊三が姿を見せた。
「いや、申し訳ない」
まさか週刊フラワーズで人気連載をされている先生だとは思わなくて
「それで何を?」
私が代わりに取材を受けますので
と言い
「氷室、君は戻って仕事に」
と告げた。
ひろしは立ち上がると彼らを見て頭を下げると
「失礼します」
と立ち去った。
火無威は浜俊三を見て
「では倉庫の写真を撮っても構いませんか?」
やはり臨場感がないと
と笑みを見せた。
俊三は頷き
「分かりました」
と応え
「私がお送りしてご案内します」
と告げた。
そして、巳湖斗と武士と八重子も付いて行き倉庫の前でモデル宜しくポーズを取らされた。
巳湖斗は火無威が写真を撮るのを見ながら
「叔父さん本当に描くつもりなのかな?」
と心で突っ込んだが、その実、武士も八重子も同じことを突っ込んでいた。
取材を終えて火無威は警察に連絡をし、巳湖斗と武士と八重子は鈴木家と姿を見せた。
留美子が応答に出て彼らを招き入れた。
彼女の母親は蒼ざめながら兄の政一を一人にしないように側についており巳湖斗たちを見ると
「いらっしゃい、あの…後で留美子にお茶を持って行かせるわ」
と告げた。
が、巳湖斗は蒼ざめ俯いている政一の前に進み
「氷室さんが貴方を救ってほしいと言ったら、全てを話してくれました」
と告げた。
政一は顔をあげて巳湖斗を見た。
「そして、貴方に申し訳ないことをしたと貴方に罪はないと」
貴方を救ってほしいとも言ってました
「氷室さんは本当に貴方の同期で親友だったんですね」
…自分が不利になっても貴方の為に真実を話してくれた…
「だから、自殺など考えないで全てを明らかにする力になってください」
今度は貴方が氷室さんを助けてあげてください
「死んでも…誰も、何も救われない」
悲しむ人苦しむ人を作るだけだ
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




