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黄泉比良坂の名探偵  作者: 如月いさみ


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黄泉比良坂の自殺志願者

「その前に夕食の準備するな」

そう冷静に告げた。


火無威は最初はオロオロしたり落ち込んだり浮上したりしていた甥っ子がしっかりとやるべきことをやるように動いているのに

「巳湖斗も成長しているな」

と心で突っ込み

「それでもダメな時は声をかけてくれ」

と告げるにとどめた。


巳湖斗は笑顔で

「ありがとう、叔父さん」

と応え、冷蔵庫を開けると

「今日は酢豚~」

と呟き、とんかつ用の豚を取り出して細長く切り始めた。


それを片栗粉で上げて、玉葱、ピーマンなども切って炒めて最後にレトルトの酢豚と混ぜ合わせるのだ。

それとタマゴスープという中華な夜ご飯であった。


火無威は後のことは巳湖斗の自主性に任せて仕事部屋に入って漫画の続きを書き始めた。


巳湖斗が平坂で死にゆく人を助けなければならなくなった事を火無威は父親である兄の亜和次に一応伝えた。

何といっても本当の父親なのだ。


その返答が

『やはり巳湖斗はお前と同じ神蔵の人間だったな。俺は違う』

『今の穏やかな生活を守りたいからそっちはお前に任せる』

であった。


神蔵の人間とは?

そう聞いた時に初めて兄の亜和次の口から神蔵家の秘密を聞いたのだ。


どうして兄が離婚と同時に逃げるように島根を出て行ったのか。

巳湖斗の母親である玲子がどうして

「巳湖斗は私が生んだけれど私の子じゃないわ」

神蔵の子

「何があっても連れてこないでね」

と言って去っていったのか。


全ての謎が解けたのだ。


もちろん、最後の母親の情なのか彼女は巳湖斗の前ではなく火無威が巳湖斗を引き取った日に火無威だけに告げて去っていったのだ。


兄の亜和次も出雲を出る時に

「神蔵の全てはお前と巳湖斗にやる」

俺は何一ついらないからもう関わらないくれ

「出雲に帰ることはない」

と言い残して去っていった。


東都大学の考古学者である近松元治教授が言っていたように恐山やイフヤ坂、黄泉の国やそう言う伝承が残る場所には潮来や黄泉がえりなど様々な通常の土地とは違った人や習慣、場所がある。


平坂もまた黄泉路の一つだとすればそういう人や場所などがあってもおかしくはない。


火無威はパソコンの前に座り

「それが…神蔵家だった」

とはまだ言う訳には行かないな

と呟いた。


誰でも彼でも逢魔が時に平坂で振り返って死にゆく人が見れたならば、これまでに何千何万の人が同じ体験をしたはずである。


だが…実際はそうではない。


苗字が示す重々しい事実。

そう、神蔵家の人間の一部は神を収める蔵。


そういう謂れを長男だった兄の亜和次は父や祖父から聞いていたのだ。


火無威は息を吐き出すと天井を見上げ

「…科学が進んだ現代で…信じろと言う方が無理だろ」

とぼやいた。

「だが、数10年前に俺が…そして巳湖斗が今経験していることは確かに潮来にも似たことだ」


死にゆく人を見る。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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