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黄泉比良坂の詐欺師

アイドルはみんなのモノ。

だけど、誰かのモノにはなれない。


有栖川美玖は学園ラインの撮影を終えるとスタッフの人たちと挨拶を交わしてマネージャーの黒川達治が運転する車に乗り込むと小さく息を吐き出した。


4日前に携帯番号を彼…神蔵巳湖斗という青年に渡した。

自動車事故にあって気を失っている時に見た夢の中に出てきた男の子。


『有栖川美玖!』と名前を読んで手を掴んで引き戻してくれた…彼。


自分はアイドルだ。

直ぐに電話が掛かると自信を持っていた。


なのにもう3日が過ぎ去った。

着信はなかった。


美玖は小さく再び息を吐き出すと

「私、自惚れ過ぎてた」

反省

と呟いた。


その日の内に掛かってくるかもしれないとその実ドキドキと待っていたのだ。

なのに、携帯が着信を知らせることはなかった。


ファンも多くいる。

マネージャーや社長も『美玖ちゃんは凄く人気があるよ』と言ってくれている。


なのに。

なのに。

自分から勇気を出してアプローチしたのに電話が無いのだ。


美玖は俯くと

「私、本当は人気無いのかも」

と思ってしまっても仕方ない状況であった。


それに運転しながら達治は

「んー、美玖ちゃんどうしたのかな?」

と聞いた。


美玖は慌てて首を振ると

「いえ、ちゃんと演技できたかなと思って」

とにっこり笑った。


事故の時に散々心配かけたのだ。

これ以上心配させてはいけない。

というか、男の子にプライベートの携帯番号を渡したと分かればどんなに怒られてしまうか。


美玖は笑顔を作り乍ら

「絶対に秘密」

と心で呟いた。


達治はそんな彼女の気持ちなど知らずさっぱりと

「大丈夫、監督もOKだしてたから自信もって」

美玖ちゃんの演技力は定評あるからね

と告げた。


美玖は頷いて

「ありがとうございます!」

と応えながら

「でも、お父さんもお母さんも…あの子も…興味ないんだろうな」

と心で呟いた。


中学になって暫くしてから両親からの連絡が完全に途絶えた。

今回なんかは自分が事故にあったとニュースで流れていたのに電話もなかったのだ。


自分から直に電話をしようとしたらマネージャーと社長から止められた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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