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黄泉比良坂の名探偵  作者: 如月いさみ


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黄泉比良坂の父親

火無威は頷いて

「ああ、また報告をくれ」

と答えた。


ある意味、知り合いの知り合いなので探す手間が省ける。

先の松浦蓮子と同じである。


巳湖斗は早速自室に入るとベッドの上に座り美玖へとLINEを入れた。

『有栖川さんのお父さんの名前って優一さん?』


美玖は撮影の休憩時間にLINEが入っていることに気付き

「巳湖斗君からだ」

とワクワクドキドキしながらこそっと開けて目を見開いた。


『有栖川さんのお父さんの名前って優一さん?』


美玖は周囲を見回して携帯を閉じると俯いた。

確かに父親の名前は有栖川優一だ。

「お父さんだよ」

だけど

だけど


両親とはもう3年会っていない。

それどころか両親が今どこに住んでいるのかも知らない。


美玖は息を吐き出して椅子に座り携帯の電源を入れたり消したりしながら

「どうしよう」

何て返事しよう

と心で呟いた。


『そうだよ』とか『優一です』とか軽く返せば良かったのだが…3年音信不通の上に行方知らずというのが先に来てどう返答して良いのか迷っていたのである。


俯いて携帯を見つめている美玖に学園ラインに出ている辰見政次が声をかけた。

「有栖川さん、そろそろだけど」

どうしたの?


美玖はハッとすると

「あ、はい」

と携帯を置いて立ち上がった。


…仕事終わってからしよう…

彼女はそう心で呟き足を踏み出した。


その様子を辰見政次は少し気にしながらチラリと椅子の上に置かれた携帯を一瞥した。

最近の彼女は変わった。

明るくなったし映画祭の時も何時もなら受賞に興味がなさそうだったのに今年は違っていた。


「何があったんだろ」

そう思いつつも聞くに聞けない政次であった。


巳湖斗は美玖が彼女の父親のことで悶々としているとは知らず

「仕事かな」

と軽く考えるとベッドに身体を横にした。


その夜半、美玖から返答があった。

『そうだけど、何故?』


その一文であった。


巳湖斗は通知音に目を覚ますとLINEを立ち上げてみた。

「あれ?」

そう呟いて首を傾げた。


彼女のチャットは顔文字が多いのだが顔文字が無かったからである。


有栖川優一が彼女の父親であることは間違いないようだが、仲が良くないのだろうか。

反応が薄すぎたのである。


その実、巳湖斗は美玖が

『有栖川優一は私の父です(*‘∀‘)』

とか

『そうです(/ω\)お父さんに何か?』

などなどそんな風に返ってくるかと思っていたのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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