黄泉比良坂の父親
火無威は肩を軽く動かして笑むと
「まあ、好きでしている仕事だ」
楽しんでるさ
と答え
「それより、明後日だな」
と告げた。
そう明後日が11月14日。
つまり次の月の極大日になる。
満月だ。
巳湖斗は頷いて
「ん、また平坂で見てくる」
と返した。
火無威は焼き豚をご飯の上に乗せて丼にしながら
「見たらすぐに戻ってこい」
俺も協力するからな
と告げた。
巳湖斗は笑顔で
「ありがとう、叔父さん」
と答え
「武士も三笠さんも手伝ってくれるって言ってくれてるから力強い」
と告げた。
火無威は頷いて
「そうだな」
協力者が増えれば情報を集めやすくなるし
「何よりも気持ちが強くなるからな」
良かったな、巳湖斗
と告げた。
巳湖斗はうんうんと頷き
「本当にそう思う」
頑張って救っていく
と答えた。
火無威は食事を終えると二階で今度は新年拡大号の読み切りのネームを切り始め、巳湖斗は片付けが終わると有栖川美玖にLINEを入れて眠りについた。
そして、二日後の14日の夕刻。
鉛色の空から低い雪起こしの遠雷が響く中で巳湖斗は平坂の途中まで登ると何時ものように振り返った。
空からはちらりほらりと白い雪が降り始め、その中に一人の男性の後姿が浮かんだ。
巳湖斗はその男性の姿を見つめ目を見開いた。
「有栖川優一…36歳」
有栖川…というと。
巳湖斗は「まさか」と呟くと踵を返して坂を慌てて登り、家に戻ると待っていた火無威を見た。
火無威は慌てて入ってきた巳湖斗を目に
「…大丈夫か?」
見たんだな
と告げた。
巳湖斗は頷いて
「有栖川優一、36歳の男性」
と言い
「もしかしたら…美玖ちゃんの…お父さんかも?」
と告げた。
火無威は冷静に
「そうだな、苗字自体珍しいからな」
と答えた。
巳湖斗は火無威に
「今日、彼女に聞いてみる」
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




