黄泉比良坂の父親
同級生の女子を平坂で見て大騒動を起こしたが、一週間も過ぎれば何もなかったように極々普通の授業風景へと戻っていた。
ただ、大きく変わったところは巳湖斗の親友の浅見武士に彼女が出来たことくらいだろう。
三笠八重子は笑顔で
「え?平坂都市伝説って本当だったの?」
マジこわっ
と巳湖斗の話を聞くと言い
「でも、面白そうだから協力するわ」
とあっさりと告げた。
巳湖斗と武士は同時に
「「何が面白そうなのかわからない」」
と突っ込みつつも、女子の情報を集める際に彼女の助力が大きいことは先の事件で理解したので素直に感謝することにしたのである。
巳湖斗は武士と八重子に
「ありがとう、助かる」
と言い
「話では満月と朔の間に1人ってことだから」
次は14か15日に平坂で振り返る
と告げた。
八重子も武士も頷いて
「じゃあ、その後の報告待ちね」
「ゾワゾワするけどさ、待ってるぜ」
と告げた。
11月も半ばに差し掛かり出雲の地域ではここのところ鉛色の雲が広がり雪の季節の到来を無言で教えていた。
巳湖斗は2人に話をしてチャイムが鳴るとタブレットを立ち上げて勉強し、終わると武士と八重子と三人で校門まで行って別れて平坂を登った。
武士は八重子を出雲市駅まで送り家へと帰るようになったのである。
巳湖斗は家に帰ると鞄を置いて服を着替え、夕食の準備を始めた。
クリスマス特別号と新年拡大号と火無威がここのところ連載の締め切りと読み切りの締め切りのダブルパンチで部屋ごもりをしているので食事の準備は巳湖斗の仕事となっていた。
「今日は焼き豚とサラダと味噌汁」
のっけ丼にしても食べれるから悪くない
そう言いながら下茹でしてフリーザーパックにたれに付け込んで入れていた焼き豚を冷蔵庫から取り出すとオーブンレンジでこんがりと焼き始めた。
甘辛の香りが漂い食欲が沸き起こる。
サラダは市販のサラダパックを深皿に盛り付けて、味噌汁はカップみそ汁の元を鍋で沸かして細かく切ったジャガイモと玉葱スライスを入れて煮立たせたら出来上がりである。
巳湖斗は準備が整うと二階に向かって
「叔父さん、できた」
と声を掛けた。
火無威はタブレットで動かしていた手を止めて立ち上がると
「悪いな」
とリビングダイニングに姿を見せてテーブルに座り
「おお!チャーシューか」
手間かかったんじゃないのか?
と告げた。
巳湖斗は笑って
「時短時短」
大丈夫
と答え
「叔父さんこそ締め切り大変なんだろ?」
と告げた。
火無威はそれにフムッと息を吐き出し
「取り敢えずカメラマンとアイドルの『ファインダーの中の君』は来月分上げたから」
後は新年拡大号の読みきりだけだ
と「ふふふ…ははは…」と乾いた笑いを零して遠くを見つめた。
巳湖斗は冷静に
「マジ修羅場なんだ」
と心で呟き
「無理しないようにしなよ」
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




