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黄泉比良坂の名探偵  作者: 如月いさみ


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黄泉比良坂の同期生

巳湖斗はそれを見ると

『俺こそチケットありがとう。主演女優賞おめでとう。俺も凄く嬉しかった。体調に気を付けて仕事頑張れ!』

と返した。


美玖はそれを見ると

「うん、頑張ろう」

と微笑み、ベッドの上で目を閉じた。


異様に明るかった月は少し輝きを和らげ、仄かに地上を照らし出していた。


慌ただしい映画祭と東京観光を終えて、巳湖斗は日曜日の夕食後に叔父の火無威から話を切り出された。


「映画祭の日に言っていた日本考古学の博士で東都大学の教授である近松元治氏に会ってきた」


あの黄泉比良坂の本を書いた人物である。


巳湖斗は食器を洗い終わってリビングダイニングのテーブルに火無威と向かい合うように座り

「それで、何か分った?」

と聞いた。


火無威は頷くと

「この辺りは伝承が元だから絶対というわけではないらしいが」

黄泉比良坂は何カ所かあるらしい

「勿論、後付けで作られた場所もあるが…古くから残っている伝承の坂だけでもここの出雲の平坂や関西の方の淡路島の先山にある坂や四国のヨミ坂、東北や北陸などにも散見されている」

あの伊賦夜坂も有名だろ?

と告げた。


巳湖斗は思い出しながら

「ああ、松江の方の」

と呟いた。


火無威は頷いて

「大体その周辺では魂を呼び戻すとか黄泉返りとかそういう儀式や人物が代々いるらしい」

多くは迷信と言われているけどな

「平坂の話もその一つとして似た傾向はあるらしい」

ただ平坂の場合はそれらと違っているのが

「完全に死んでいない死人だということだと先生は言っていた」

と告げた。


巳湖斗は目を見開くと

「え?」

と聞いた。


火無威は視線を少し伏せながら

「俺の親友の場合も…一旦は死んだ…が、息を吹き返して三日間は生きていた」

平坂になった原因の話も同じだ

「だから先生は一つの仮説として」

平坂は黄泉比良坂の入口なのかもしれないと考えられる

「そう言っていた」

と告げた。

「もしかしたらその入り口から引き戻す方法が古書に書かれている満月と新月の間に死にゆく人を1000人助けるじゃないのかと」

まあ1000人助けるとかその辺りの具体的な話の真義は分からないと言っていて

「是非経過を知らせて欲しいとも言っていた」


…。

…。


それって。

それって…俗に言う。


巳湖斗は目を細めると

「おれ、研究対象…ってこと?だよな」

とぽつりとつぶやいた。


火無威は苦笑しつつ

「だが、現実いま彼女はそれで生きている」

やり続けるしかないだろ

と告げた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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