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さる旅行記
1、はじめに
この旅行記を書くにあたってまず最初に申し上げておきたいのは本当に内容に嘘偽りはないということだ。先日学術雑誌にこの貴重な体験を包み隠さず寄稿したところ、編集部から「先生いくらなんでもこれは荒唐無稽すぎます」と言われてしまい信じてもらえなかった。
確かに、あれは僕の人生の中でもかなり特殊な経験には違いないし、生死の危険をたった数日間の間に幾度も体験した。もう一度やるかと言われたら答えは否だが、忘れられない経験になったことには違いない。
事実は小説より奇なりというのはまさにこのことなのだ。
是非読者諸君にはF県へ行って真実を確かめてほしい。
ただし、僕が消される前に…