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10/29 3:45 やっぱり好きなんだよなぁ

ってことで、フリー文章のコーナーです。

またの名を普通の文章のコーナー、ふつ文でございます。


先日、谷村新司さんがお亡くなりになりました。

僕自体はまったく世代ではないので、「サライ」とか「昴」とか有名な曲しか知らないです。あとはエッチな本(ビニ本)蒐集家としてぐらいでしょうか。


そんな僕が唯一谷村新司さんについて書けることがあります。

というか谷村新司さんの曲で思い出があります。

あれは学生の時の話です。


当時から僕は70年代から80年代の邦楽が好きでよく聴いていました。

その中の一曲として聴いていたのが谷村さんが所属していたバンド「アリス」、その曲の中に「チャンピオン」という曲があるのです。


「チャンピオン」は谷村さんが作詞作曲した曲で、歌詞の内容はボクシングが題材で、チャンピオンが若い挑戦者に敗れるまでを描いた、元東洋ミドル級チャンピオンのカシアス内藤さんがモデルとなったとされている曲です。


短編小説のような歌詞の内容、燃え尽きていく年老いたチャンピオンが敗れていく姿が描かれていて、僕はストーリー性のある歌詞が好きだったので、すぐに好きになりました。さらには当時、なぜかあしたのジョーが深夜に再放送されていたこともあり、お気に入りの曲でした。


とはいえ、時代はすでにやがて21世紀になろうとしていた時期。日本でもヒップホップが少しずつですが浸透していたような時期です。10年、20年前の邦楽のような一種の暑苦しさや泥臭さを持った曲は当然古い曲として扱われていました。


そんな学生自分の夏休み。町内の盆踊りをきっかけにして、幼馴染と会うことになりました。ラブコメのセオリーなら女子なんでしょうが、残念ながら男ですww

高校からは別になったので、すでに数年の間、密に会うことはなかったので、久しぶりの再会でした。


彼は昔から絵が上手く、漫画をずっと描いており、高校入学ぐらいまでは彼が描いた漫画はすべて読んでいました。(今でも数冊持っています)

久しぶり会った彼は漫画の執筆を続けており、さらには雑誌へ投稿も始めており、少年ガンガンで奨励賞(だったような……多分)を取って、担当さんが付いているぐらいでした。


後にそのときのガンガンを見せてもらったので、本当です。絵柄も一致してましたし。

僕は小学生の段階で彼との画力の差にショックを受けて、彼に見せるのが恥ずかしくて漫画を描くのを辞めたぐらいでした。(まぁ、後にまた描こうと思いましたが)


それはさておき。そんな彼との久しぶりの会話で最近聴いている曲の話になりました。

僕は好きな曲の中に「チャンピオン」を挙げました。上記に書いたような解説を加えて、プレゼンしたつもりでした。


しかし、彼はそれを聴き終わった途端、大爆笑でした。

さらに「あんな恥ずかしい曲聴いているのかよ~」と言われました。


彼が言うには曲は暑苦しいし、内容も恥ずかしい、よくあんなの聴いてるなということでした。

今思えば、ヴィジュアル系が流行ってた時代、たしかに「チャンピオン」は暑苦しい。幻想的な歌詞や好きだと歌い上げる曲ではなかった。しかも、当時のアリスのメンバーである堀内孝雄や谷村新司はどちらかといえば、演歌に分類されるような曲を歌っていました。


若くしかも当時の最先端のクリエイティブに触れ、新しい才能開花に向けて振り向かずに走り続けていた彼には、70年代、80年代の文化なんて古臭くて参考にならないモノだったのかもしれません。

さらに若さもあって、言葉が鋭利なものとなっています。


「恥ずかし」


彼の言葉に僕は何も言えませんでした。


クリエイティブなモノに対する才能は彼の方が圧倒的に上だったし、結果も出してる。

僕は当時、創作活動のようなものは何もしていませんでしたし、彼の絵を見て自分の絵が恥ずかしくなって描くのを辞めてしまったこともあり、「好きなものは好き」と言える勇気はありませんでした。


その日以来、僕は「チャンピオン」をアリスを聴かなくなりました。聴いてしまうと、どうしてもあの時の「恥ずかし」が頭をよぎってしまうのでした。


なんで「好きなものは好き」と言えなかったのか、後悔が残ります。それこそいい歳になった今でさえも思い出に残っているぐらいには心残りなんでしょう。


あの時の僕に会ったら、「気にすんな。好きなものは好きでいいんだよ」って言えると思います。だけど、時は戻らないので、後悔は残るわけです。

とはいえ、この後悔のお陰で、今でもコツコツと創作を続けていますし、この連載も続けられているのかもなぁと思ったりするわけです。まぁ、そうやって糧になってると思わないと、あの時の自分が救われないっていう気持ちがあるんでしょうけど。


最近、谷村新司さんの訃報を機に「チャンピオン」を聴いてみました。

たしかに暑苦しい歌詞だし、曲調だって今を思えば当然古臭い。

でも、今なら言える。


やっぱり好きなんだよなぁ。




そんなわけで、あと一回は更新予定。

寝なければね……(危険)



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