10/29 1:33 週ぼち24時 逮捕の瞬間!
ここは週ぼち警察署。今日もパトカーで街中をパトカーで警らする二人の警察官がいる。
「職務質問って、あんまり評判は良くないかもしれないですが、犯罪を未然に防ぐという意味では、どうしても必要なことなんですね」
そう語るのは週ぼち警察署でも職質の鬼と言われる週ぼち署警ら隊の警部補犬棒定吉(
いぬぼうさだきち)。※1
別名、鬼の定吉。
今日は定吉警部補の職務質問に密着する。
定吉は助手席に乗りつつ、辺りに怪しい人物がいないかどうか、鋭い眼光を向けていた。
今日も小説家になろう周辺をパトロール中。さまざまなジャンルお作品が並び、そこでは裏切りや追放、悪役令嬢の改心やのんびりライフと言いながら戦い明け暮れる転生者等、異世界ファンタジーを中心にさまざまな人間関係模様が描かれている。
急流のように流れていく連載作品の中に定吉の目が光る。
歩道を歩く一人の男に視線を向けた。
「あれ? ちょっと先行ったところで停めて」
気になったのは猫背で歩く中年の男。足取りはどこかフラフラしているようにも見える。パトカーに気付いたのか、すこし小走りになった。
「目の焦点があってないなぁ。それにパトカーみたら足取りが変わった」
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われる鬼千里眼の定吉。流れる作品群の中でも怪しい作品を見つける目は一級品だ。
警ら中のパトカーは中年男性の行く手を阻むように横付けされ、停車した。
「よし、行こう」
慌てずゆっくりと、しかし速やかにパトカーを降りる定吉。
パトカーが近くに停まり、足取りを止める中年男性。たちまち運転をしていた定吉の相棒の警察官と二人で中年男性の周りを固めた。
「こんばんわ。週ぼち警察署自動車警ら隊の定吉といいます。今、辺りをパトロールしてまして、ちょっとお話良いですか?」
「……はあ」
中年男の返事はどこか緩慢でまどろんでいるかのように思えた。うつろな目で定吉を見つめ、すぐに視線を逸らした。
「あの、でも僕、ちょっと用事が……」
「職務質問になります。ご協力ください。なにか身分を証明するものをお持ちですか?」
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われ、スマートな語り口から職質紳士とも言われる鬼千里眼紳士の定吉。
「あ、あの……僕……」
中年男は寝ぼけているのか、コミュ障なのかすぐには言葉を返せないようで、まごまごしている。
「もちものに危ないものがないか、鞄の中を調べていいですか?」
「はぁ……」
中年男は観念したのか、大人しく鞄を開け、財布から運転免許証を取りだした。
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われ、スマートな語り口から職質紳士とも言われ、さらには対象者の心と鞄を開けさせるのが上手い職質の開錠師と言われる鬼千里眼紳士おっぴろげの定吉。
「えーっと。貴方の名前はリープさん。リープさんでよろしいですか?」
「はい……」
男はリープと名乗って、愛想笑いのつもりなのか、ヘラヘラ笑って受けごたえた。
「今、署に確認取ってますから、ちょっと待ってくださいね」
「いや、もういいでしょ。僕はこれで――」
リープと名乗る中年男は無理やり定吉の隣をすり抜けようとした。
「あーちょっとちょっと、待って!」
「大事な用があるんで、あるんで! あるんで!」
「はい、ダメダメダメ。今、問い合わせてるからね~」
警察官二人に行く手を遮られてリープと名乗る中年男は身動きが取れなくなった。
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われ、スマートな語り口から職質紳士とも言われ、さらには対象者の心と鞄を開けさせるのが上手い職質の開錠師と言われ、対象者の行く手を阻むことに関して右に出るものなしと言われた職質のタンクと言われる鬼千里眼紳士おっぴろげタンクの定吉。
それでも暴れようとするリープと名乗る中年男。
「ちょちょちょ、どこ行くの!」
「いや、今、連載中なんですって! 忙しいんですって!」
「少し待ってくれるだけでいいから。どこ行こうとするの!」
「なんですか! 押さえつけるの止めてください! 警察の横暴ですか!」
「だから協力してくださいって!」
「助けて―! た~す~け~て~!」
「そんなY弁護士みたいなこと言ってもダメだって」※2
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われ、スマートな語り口から職質紳士とも言われ、さらには対象者の心と鞄を開けさせるのが上手い職質の開錠師と言われ、対象者の行く手を阻むことに関して右に出るものなしと言われた職質のタンクと言われ、またの名を職質のツッコミ王と言われる、鬼千里眼紳士おっぴろげタンクなんでやねんなんでやねんの定吉定吉。※3
そこへ週ぼち署から連絡が入り、無線で連絡を受ける鬼千里眼紳士おっぴろげタンクなんでやねんなんでやねん定吉定吉。
「はい、はい。あ~なるほど。リープさん、アナタ、前がありますね?」
前とは前科のことである。リープと名乗る中年男はなんと前科持ちだった。リープと名乗る前科持ち中年男は思わず視線を逸らした。
「もう、昔のことですから!」
「いや、違いますね。アナタ、最近もやっちゃってますね。やっちゃってる!」
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われ、スマートな語り口から職質紳士とも言われ、さらには対象者の心と鞄を開けさせるのが上手い職質の開錠師と言われ、対象者の行く手を阻むことに関して右に出るものなしと言われた職質のタンクと言われ、またの名を職質のツッコミ王と言われ、さらにさらに、職質のいっちゃってるやっちゃってる、と言われる、鬼千里眼紳士おっぴろげタンクなんでやねんなんでやねん定吉定吉ナダル。
「それでも僕はやってない!」映画化決定!
「い~や、やっちゃってますね。重罪ですよ。あなた……」
「ごくり……」
「前回の更新で寝落ちしましたね!」
「してない!」
「前回の更新の最後に『やっちまっただー!』って書いたでしょ! しかも、平日に更新出来たらするとか言って! 読者を騙した!」
「違う……」
最後はリープと呼ばれる中年男に向けて指さして宣告した。
「10月29日1時30分、行けたら行く詐欺罪で逮捕! どーーーーーーん!」
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われ、スマートな語り口から職質紳士とも言われ、さらには対象者の心と鞄を開けさせるのが上手い職質の開錠師と言われ、対象者の行く手を阻むことに関して右に出るものなしと言われた職質のタンクと言われ、またの名を職質のツッコミ王と言われ、さらにさらに、職質のいっちゃってるやっちゃってる、もう一回遊べるどーーーーーーん! と言われる、鬼千里眼紳士おっぴろげタンクなんでやねんなんでやねん定吉定吉ナダル福蔵の達人。※4
手錠を掛けられてうなだれるリープと呼ばれる中年男性。
パトカーに乗せられた後、ぽつりとつぶやいた。
「そ、そんなのってないペコじゃん……」
その姿を見つめて『ぺこらを巻き込むな』と思いながら、警察官は半笑いで応えた。
「気持ち悪い」
さすがは職質の鬼と言われ、さらには職質の千里眼を持つ男と言われ、スマートな語り口から職質紳士とも言われ、さらには対象者の心と鞄を開けさせるのが上手い職質の開錠師と言われ、対象者の行く手を阻むことに関して右に出るものなしと言われた職質のタンクと言われ、またの名を職質のツッコミ王と言われ、さらにさらに、職質のいっちゃってるやっちゃってる、もう一回遊べるどーーーーーーん! と言われ、シン職質の残酷の天使と言われる、鬼千里眼紳士おっぴろげタンクなんでやねんなんでやねん定吉定吉ナダル福蔵の達人と名乗り――
またの名をTHE END OF SADAKITIと言う。※5
オチが付いたし、チキンも冷えたようです。※6
おあとがよろしいようで。(よろしくない)※7
※1
警察官の名前はなんにも思い浮かばなかったので、伊集院光のラジオで「犬棒かるた」と中村悠一が好きなゲーム「定吉七番」からとった。
決して、警察を政府の犬め!とか思ってないです。(誰も訊いてない)
※2
前にも書いたが、横山弁護士のことである。分からない人はググってください。
※3
本来は「なんでやねん、なんでやねん、なんでやねん」なんですけど。昔、ナイナイのANNで渡辺徹のニセ関西弁がネタにされた時に使われた枕詞。
「なんでやねん、なんでやねん、なんでやねん」と言った後、ニセ関西弁を話し出すというネタだった。そんな渡辺徹さんも亡くなってしまい、寂しい限りである。
※4
最初は喪黒福蔵ネタだったが、書いた後、太鼓の達人も「どん」だなと思って付け加えた。すでにこの段階で、いや、もっと前の段階でコピペして名前のくだりを書いている。読んでいる人も絶対最初のくだりは読み飛ばしているのだと信じている。真面目に読まないでほしい。
※5
もちろん「気持ち悪い」からのTHE END OF EVANGELIONネタである。
当然のごとく、定吉の名前もこれで終わり、と言う意味もある。
すでに皆さん気づいていると思いますが、寿限無ネタである。
書き始めた時はそんなつもりなかったが、気が付いたら定吉の名前を書いていた。
※6
もちろん「そんなのないペコじゃん」からの「チキン冷めちゃった」である。
分かんない人は「ぺこら チキン」で検索、検索!
今年は何冷ましてくれるのかなぁ。
※7
寿限無ネタだったからこの終わりにしたが、別に次の出番を待っている師匠方はいないので、正確には「おあともないようです」かもしれない。
週ぼち懺悔室ばかり書いてたので、今回は警察24時をネタにしようと思って、ノープランで書き始めた。
もう一つの案としては、警官と泥酔おじさん(リープ)のネタだったが、すでにこの話を半分書いたところで気づいたので、止めた。
あとは音声変えるのが面白いのだけれど、文字では伝わらないので、リープの話す言葉をカタカナにしようと思ったが、単純に読みにくいので止めた。