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星になっておやすみ

作者: アボカド18%

 かつて瞳に蓄えた希望は流れ落ち

 私は人になりました

 ならば心に描いた夢が溢れたとして

 私は一体何になるのでしょう

 


---



「僕達、明日には死ねるんだって」

「けど死にたくないね」

「そうだね」


 病巣を寄せ合い、二本の影が言葉を交わす。


「あれ……」

「泣いてるの?」


 片割れの頬を、一筋の希望が伝う。


「枯れた瞳にも、涙なんて残ってたんだ」

「貴方の涙は、なんだか甘いね」

「そうなんだ」


 その希望が、もう一方の喉へと溶ける。


「あ」

「どうしたの?」


 涙は既に消え、言葉と共に柔らかい表情(かお)が浮かぶ。


「ずっとね、君との夢を見てたんだ」

「夢を?」

「身体もまともに動かせなくたって、心に貴方との日々を思い描いていたの」

「なんだか素敵だね」

「けれど、それも今日で終わりだよ」


 そして終わりは幸福に


「貴方の涙で僕の心はいっぱいに溢れたの」

「ならもう、夢は見れないの?」

「うん。だけどこれからは夢を見れなくても良いんだ」


 見なくたって

 見れなくったって


「今度はね、僕が夢を受け取る番なんだ。夢を受け取って希望をみんなに届けられる、そんな素敵な番なんだ」

「私もそんな風になれるかな? なりたいな」

「きっとなれるよ」

「どうして?」

「だって僕が貴方に希望を届けるから」


 だから


「僕が貴方の希望の星になるから」

「それなら私は、君の夢の月になるんだね」



 星になっておやすみ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 切なさと美しさが絶妙に織り交ざった作品ですね。 人の出会いも、命も、運命の綾によってどういう結末になるかは、わかりませんね。 幸せの形は、その人達それぞれの心で決まるのでしょうね。
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