投影
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できる限り、毎週土曜日には投稿したいと考えております。
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数週間ほど野宿を繰り返し歩を進める一行。食料調達を含む戦闘を行いながら、少しずつ経験を積み重ねていた。
「よしっ!倒せたね!」
「弱いモンスターなら、そこまで時間かからなくなりましたね」
「アイリーとクレアにばっかり戦わせてごめんにゃ」
「わ、私もできることなくてごめんなさい!」
「気にしないでください。見張りとかお料理はお願いしてるのでお互い様です」
「そういえば今、どの辺りかな?結構歩いたと思うけど」
「は、半分くらいじゃないかな?」
「まだ先は長いですね」
「実は昔、この近くに住んでたことあるんだ。でも、この先は近づいちゃいけにゃいって本能が言ってた…」
「さらっと物凄いこと話しましたね」
「……ケニーさんもいろいろ大変だったんだね…」
「でも、たしかに雰囲気がありますね。気を引き締めて行きましょう」
ぐううぅぅぅ〜〜〜!
「こほん。その前に食事にしましょうか」
「やったぁーーー!腹減ってた!」
「……今、何か聞こえなかった?」
「ケニーのお腹の音ですか?」
「ず、ずいぶんお腹空かせてたんだねっ」
「いや〜お恥ずかしい〜」
「ううん、違うの。誰かの…叫び声みたいな……」
「そんな、まさか…」
「気のせいじゃにゃいのか?」
「わからない…けど、気になるから見てくる!」
「ちょ、ちょっと待ってください!1人は危ないですよ!」
食事の準備は後回しに、微かに聞こえた叫び声のする方にアイリーたちは走り出した。
「……た、たすけ…」
その光景に言葉を失った。
散らばった血塗れの壊れた防具や武器。
吐き気が止まらないほどの悪臭。
他の冒険者が見当たらない。しかし、血で一色に染められた様子から、どうなったのかは容易に想像できた。
そして、凄惨な現場を作り出したであろうモンスターは、冒険者を捕食している最中。
これまで遭遇しなかったことが不思議に思えるほどその体は大きく、逃げることが正しいと本能的に感じるほどの恐ろしさだった。
「…に、逃げよ……こ、こいつは、ケニーたちの相手できるやつじゃにゃい………」
「………あっ……あ……」
「レ、レイさん!座り込んじゃだめです………って、アイリーは?」
残っていた冒険者は既に体が動かせないのか、モンスターにされるがままだった。
最後の冒険者を喰らおうとモンスターは手を伸ばす。
「……さ、させないっ!………」
伸ばしていた手先に激痛が走り怯むモンスター。
突然のことに冒険者から距離を取る。
巨大なモンスターと対峙するその体はあまりにも小さい。体は小刻みに震え、目には涙を浮かべている。
それでも、考える間も無くアイリーはモンスターの前に立ちはだかっていた。
あの時、聖騎士がしてくれたように。
他の3人も意を決したように目を見合わせ、アイリーの勇敢さに呼応されるように、モンスターの前で構えはじめる。
「で、出て来てしまいましたけど、助けられるの…ですか!?」
「……わ…わからないけど、放っておけなくて……」
「援護するけど…無理だったら逃げるんだぞ。」
「…こ…怖い………けど…私も頑張る……」
邪魔されたモンスターは怒り狂い、大地が震えるほどの咆哮を放った。
勇敢にも立ち向かった一行だが、その咆哮は全員の戦意を奪うのに十分すぎた。
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