記憶
たくさん読んでいただいてありがとうございます!
私事ですが、投稿頻度が落ちてしまいます。
それでも、最後まで書きたいとは思っていますので、気長にお待ちいただけると幸いです。
これからもぜひ読んでいってください!
自分が両親を殺してしまったのか、それとも他に殺されたのか、アイリーは答えが出せず葛藤していた。
「アイリー、大丈夫ですか?まだ、顔色が優れませんね……。治療士さんたちはもう退院しても良いと仰っていましたよ」
「だ、大丈夫だよ。心配かけてごめんね。今日には退院するよ……」
「……何か嫌なことでも思い出したのですか?」
「何も…ないよ……」
「…………"私のせいじゃない"……って言葉は……」
「………」
「話すと気が楽になるかも知れませんよ…」
「……」
「……」
すると突然、クレアがあと数cmというところまで顔を近づけてきた。
驚いて目を丸くするアイリー。
髪と同様、淡く青みがかった綺麗な瞳がまっすぐとアイリーを見つめる。
その瞳は今にも溢れそうな涙を懸命に堪えていた。
「私では力不足…でしょうか?少しでもアイリーのお役に立ちたいのです……」
堪えきれず涙は頬を流れていた。
しばらくの沈黙ののち、アイリーは夢の内容を打ち明けた。
両親を自らの手に掛けてしまったことと、他の誰かに既に殺されていたことの2つの夢について。
それが原因でモンスターであっても倒すことが出来なかったこと。
そして、どちらにも共通して"あの人"がいたこと。
「……そんなことが……で、でも夢の話ですよね?」
「…私も分からない………でも、確かにパパとママは私の目の前で………うぅっ……」
「………」
「自分でも何も分からないから……相談できなかったんです……」
泣きじゃくっていたアイリーは、体が優しく包まれていくのを感じた。
「ごめんなさい!アイリー!なんて声を掛けてあげるのが良いのか私には分かりません。それでも……話してくれて…ありがとうございます」
「クレアさん…」
「今は私がいます。頼りないかもしれませんが、少しだけでも一緒に背負わせてはくれませんか?」
「…ど、どうしてそこまで……」
「私は自分の生まれた環境が気に入らず、全てから逃げて戦士になりました。しかし、アイリーは逃げずに、自分の運命と向き合おうとしている。」
「……」
「何が本当かはまだ分かりません。ただ、私は今のアイリーと一緒に居たいのです」
「…うぅ……」
「どうか、アイリーを支えさせてはもらえませんか?私はもう逃げません。どんなことが待っていても、アイリーと共に歩むことを約束します」
いつしかクレアはいつもの凛とした表情に戻っていた。
まだ答えが見つかったわけではない。それでもアイリーは少しだけ心が軽くなるのを感じた。
「も、もしかしたら……ギル兄に会えば何かわかるかも知れない…」
「ギル兄……ギル……その人の名前ってギルベルトさんですか?」
「そう…だったような…?」
「この前の女性がその人を探してるって言ってたじゃないですか!」
「ほんとだ!」
「その女性を探しに行きましょう!」
「うん!」
二人ともだいぶ表情が明るくなった。
そして、アイリーは診療所を退院していった。
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