どうやって帰る?
新たな希望が見えた矢先、俺はある問題を思い出す。
「どうやって帰ればいいんだ?」
ここに来た時の床板はもうどこにも見当たらない。辺りは本で埋め尽くされていて、扉なども無さそうだ。天井も………何も無いな。
帰れなければ何も出来ない。だが、最早俺の力ではどうしようもない。
俺は考える気力を失って、その場に座り込む。
「はぁ………。こんな時セレーネがいたら、俺を助けてくれるのか?」
思わずポツリと呟く。
俺は何を言ってるんだ?そもそもセレーネは封印されているのに。
なんて、自分に言い聞かせていたその時だった。
「うわっ!?な、なんだ!?」
俺の体が突然淡く光り出したのだ。まるで、さっきの巻物のように。
「おぉぉ!!何がどうなっているのかは分からんが、とにかくすごいな!」
なんと、俺の体が光に包まれた途端、上へと上昇し始めたのだ。
行きとは違ってかなりゆっくりだが、おかげで周りを見渡す余裕が出てきた。まあ、闇が一面に広がっているだけなのだが。
やがて、俺の体はゆっくりと止まる。
が、辺りは真っ暗なままで正直着いたのか分からない。
と思いきや、目の前が急に光り出す。
あまりの眩しさに目を閉じる。
数秒後、目を開けるとそこは城の廊下だった。後ろには行く時と同じように従者が控えている。
「陛下、どうかしましたか?」
「急に立ち止まられて………具合がよろしくないのでは?」
ふむ、どうやら時間と場所は変わっていないみたいだな。
「ああいや、問題ない。行くぞ。」
早く地下での出来事を伝えたい。
その一心で、俺はいつもの廊下をいつもよりも早く歩いて行った。