地下書庫
不意に、部屋の戸がノックされる。
「陛下、そろそろお時間です。」
ああ、そうだった。今日は会議の日であった。
俺が遅いから呼びに来たんだな。
「すまない、今行く。」
俺は従者を後ろに従えながら、いつも会議を行っている紅の間へと歩く。
いつも通りの道をいつも通り歩いていた、その時だった。
「うおっ!」
突如、床板の1枚が沈んだ。
………だけでなく、床板は俺1人を乗せたまま途轍もない速さで暗闇を下っていく。
どこまで行くのかと思いきや、不意に床板の下降が止まり、床板が地面(というには語弊があるが)に着く。あまりにも突然の出来事だったので、私は俺床板から転げ落ちる。
うう、ダサいな。まあ、床板がそもそも斜めに落下、着地したのだから無理もないが。
にしても、ここはどこだろう?地下、なのか?
しかし、暗闇で何も見えない。
いくら待っても目が慣れない。
もしかして、何もないのか?だとしたら、どうしたものか………と思い悩んでいた所、不意に明かりがついた。
困っていたら明かりをつけてくれるとは気が利くなと思いつつ、床板を沈ませるなんてやっぱり気が利かないな、とも思う。
とにかく、明かりがついたので辺りを見回してみると、土で出来た棚にたくさんの書物が並んでいる。
ふむ、ここは地下書庫ということか?
こんな場所があるなど聞いたことがないがなぁ。
知らされてなかったにしても、いつも通っている廊下なのに22年間気付かないなんてことがあるのか?
なんてうんうん唸っていると、ふと不思議な巻物があるのに気付く。