3話 どこでも売ってるよ
それは四角い液晶を指して「スクエア」であるとか、ある映画でイケメン俳優が身につけていたことから「スピードモデル」とか呼ばれているらしい。日本で爆発的に流行り始めたのは90年代後半のことらしいが、どちらにせよ俺が生まれる前の話だ。
そんな古めかしいモデルだが、良いものはいつの時代でも生き残るものらしく、腕時計ショップに行けば大抵売っている定番商品だ。
「だからどこでも売っているって言っているだろ」
俺は隣に座る美少女に説明した。だが、篠原はそれで納得しない。
「どこでもじゃわからないわよ」
俺は仕方なくスマフォでネット通販のページを表示して見せる。
「ほらアマズンでも買えるぞ」
「アマズン?」
篠原はキョトンとした顔をする。まじか。父親がIT会社を経営しているのにアマズンも知らないのかよ。
「お前、買い物とかしないのか?」
「失礼ね、買い物くらいしてるわ。いつも百貨店の人がうちにきて、適当なものを見繕ってくれるのよ」
なんだそのおすすめ機能。そんな買い物の仕方知らないぞ俺は。
「売ってる店、案内しなさいよ」
「へ?」
それから篠原は教科書に顔を戻して言う。
「放課後付き合いなさい」
読んでいただきありがとうございます。
主人公がつけている時計は○–ショックのDW5600C-1Vというモデルになります。
『スピード』という映画で主演のキアヌ・リーブスがつけていたことから俗に「スピードモデル」と呼ばれています。
この『スピード』は今見ても面白い古びない映画だと思います。知能犯による爆弾使ったバスジャック事件。巻き込まれた若きSWAT隊員の主人公と犯人との手に汗握る攻防。まさにノンストップアクションの名にふさわしい名作です。若い頃のキアヌ・リーブスが見れるのもファンには一興かと。
ちなみに続編もありますが、いろいろ違います。バスが船になったり、キアヌが降板したり、はっきり言って別物ですね。
ともかく、この映画のおかげで、腕時計もキアヌの評価も不変のものになったのではないでしょうか。興味ある方は調べてみてくださいね。
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