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章タイトルは中二病っぽくいこうと思います

 世間やマスコミが、連続殺人事件だ、平成のジャックザリッパーだなどとワイドショーで盛り上がっていたころ、その騒ぎとは何の関係もないと思えるくらいに私立一条学院高校は平和だった。そう、平和だ。

 ……ここ、勇者召喚対策本部なんて言う頭のおかしい部活を除いては。

「勇者召喚と言えば古文書よね」

 早速透華が頭の痛いことを言い出した。早速だ。俺が入らさせられてすぐ、だ。

「で、何をするんだ? 図書室でも調べんのか?」

 図書室行くんだったら、俺はそこらへんで勉強か読書でもしといていいか? 来週月曜日英語の単語テストあるし。読みたい本もたまってるし。

「セイギ、何言ってんの? 私は理事長の娘よ。図書室の本くらい全部調べてるわよ。それに、献本された本のリストには目を通してるわ」

 何それ? 図書室でいいよね? 図書室で本読んでるだけでいいよね?

 あと、俺の名前はセイギで固定らしい。正義まさよしなのに……。しかも、他の人にもセイギと呼ぶように触れ回る始末。どうかこの不名誉なあだ名が広まりませんように。それはさておき。

「見逃してたとかは?」

 できることなら図書室で何とかぐでってたい。そしたら関係ないことしててもばれないじゃん。

「ないわ。念のため全て調べたもの。それらしき古文書は一冊もなかったわ」

 ええ、もう図書室にいるだけでいいじゃん。面倒なことに巻き込まれたくないよ。

「でもね、実はそれだけじゃないのです。なんと、この学校には廃倉庫があるというのを父親から聞いたのです」

 何しれっと面倒なことを放り込んでくれてるんですか。嫌ですよ。俺はそんなことしたくないです。そんな本格的にやりたくないです。俺はもう一般人なんで。

「なるほど、それは確かに興味深いですね。古文書があるとすればそこに間違いないでしょう」

「あるといいですね」

 飛鳥や、まあ礼奈さんは仕方ないとしても、別にその必要ないじゃん。俺、本読んでるから。

「そうなんだけどね。実は、そこの鍵は家が管理してなくて。生徒会が持ってるらしいのよ」

 ……。

 いやだ。嫌な予感しかない。変なことに巻き込まれる感覚しかない。

「で、何だけど、セイギ。ラノベ読んでないでちょっと生徒会まで行ってもらってきて」

 そう言って本を取り上げられる。なんでブックカバーかかってたのにわかった!?

「嫌だよ! また怒られる気しかしないんだけど! そんなとこ行きたくないよ! というかなんで俺なの!」

「アーティファクト目録」

「今すぐ行ってきます」

 うう、酷い。それを盾に出さないでくれ。

 そうなのだ。こいつ、結局あの黒歴史ノートを返してくれなかったのだ。というか、時折取り出して脅される。うう、あれが公開されてしまえば、巻き込まれてるだけの一般人という俺の評価が地に落ちる。絶対に避けないと。

「それじゃあ、頑張ってね」

 もう嫌だ、この部活。


「はあ、ふざけるな! 調査も何もあるか! というか、この部活自体俺は認めんからな!」

 やっぱり。




「というわけで、生徒会長はこの部活自体認める気はないそうです。従って何かを貸し出すということもなし。予算の分配もないそうです」

「はあ!? 何よそれ! ちょっと父親に行って生徒会長やめさせてくるわ!」

「やめろ! 理事長権限乱用するな!」

 生徒の自主性を重んじるんじゃなかったのか!

「それにあれだろ、5月で一応改選されるだろ! それまでの我慢だから! 今やめさせたら混乱するから!」

「仕方ないわね、はあ」

 仕方ないじゃない。これだから横暴お嬢様は。自分の庭だからって自分の思い通りにできると思うな。むしろ手入れをする方だろうが。

「それじゃあ、鍵を生徒会室から盗み出すしかないわね」

「なお悪いわ! それ犯罪だから!」

 お前、何しれっと犯罪行為を口走ってるんだ! そういう発想が出てくる方がおかしいから!

「セイギ、何言ってんの? 名前と同じようにセイギの塊なの?」

「これはお前が付けたあだ名だ!」

 というか犯罪行為自体やめろ。

「やれやれ、セイギはわかってないわねえ。世の中にはこういう言葉があるのよ」

 やめてくれ、何か想像もつくし、俺がやらされる未来しか想像できない。

「ばれなきゃ犯罪じゃない」

「犯罪だから! 十分窃盗罪だから、刑法235条に抵触するから!」

「よく覚えてるわね」

「それはどうでもいい!」

 どうでもいいんだよ。中二病時代に刑法暗記してる俺かっこいいと思って暗記したとかそれはどうでもいいんだよ。それより。

「十分な犯罪行為だからな! 俺はそんなのやらないからな!」

「別に誰もセイギに頼むなんて言ってないわよ」

 えっ!?

 あれ、てっきり今の流れ的に俺が盗んでくる羽目になるんじゃないかと警戒していたが、違ったのか。ああ、よかった。いや、根本的な問題が解決したわけじゃないんだけど。

「うちにはそういうことのスペシャリストがいるじゃない。ね、友梨?」

 ああ、忍者か。

「任せて。生徒会員を眠らせて盗ってくるなんて余裕」

「それだめだから! 刑法239条、昏睡強盗に該当するから」

「よく覚えてるわね、そんなの」

 だからそれは中二病のせい。

「廃倉庫を確認するにしても、もっとスマートな方法があるでしょ。ピッキングして侵入するとか、鍵がさびていて入れたことにするとか」

 無意味に罪を重ねるなと言いたい。

「なるほど。友梨、ピッキングってできる? 確か南京錠だったと思うんだけど」

「金庫くらいまでなら余裕」

 そうですか。非常識なことで。でも、そっちの方がましだよね。昏睡強盗は確実にばれるし。

「それにしてもそんな発想が出てくるなんて、セイギも結構の悪じゃない」

 ……。

「違うからな! お前らが思い切りばれそうな犯罪をしようとしてたから妥協点を探っただけだからな!」

 こいつには説得が通用しないからばれないように軌道修正しただけだからね!

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